『禍家』三津田信三

禍家 (光文社文庫)

禍家 (光文社文庫)

 両親を事故でなくし、祖母と共に東京郊外の家に引っ越して来た貢太郎。だが、始めて住むはずの家に、彼はどこか既視感を覚える。そして、そんな彼を突如、怪異が襲う。血塗れの人影……暗闇で迫る謎の気配……。恐怖に怯えながら事件の謎に迫る貢太郎だが……。


 主人公が12歳なんだが、やたらと理屈っぽいんですね(笑)。この怪異現象はこういうタイミングで起きたから、これが原因かもしれない……などとしょっちゅう考え込む。個々の描写は細かくて結構怖いんだけど、いちいち当たっているわけのない解釈など並べられるから面倒くさい。前半の誤った推理にミスディレクションを頼るのは、ミステリとしてもあんまり巧いとは思えんね。
 大ネタが二つ盛り込まれてるのだが、一つが思わせぶりに登場したはずのお爺さんに、懇切丁寧に解説されることで中盤に解決してしまう、というのもいただけない。これをどうにかクリアしたところで実は……というのが王道だと思うんだが、少々欲張り過ぎたか? 単に二つ目のネタの伏線で終わってしまった。


 怪奇現象、大スケールの呪い、衝撃の真相、クライマックスの物理的恐怖、と小説として面白くなる要素は充分に揃ってるのに、ホラーとしては理に走り過ぎてしまい、主人公が探偵役を兼ねてることも手伝って、何か他人事のように感じられる話になってしまった。ただまあ、この不自然なまでの理屈っぽさと、主人公が無理に事件に関わって行かない限り話を転がせない、というのは、それしか書けないからなのだろうが……。 


 光文社の書き下ろしは、あと2冊買ってあるが、どっちもこのスタイルなのか? だったら結構きついものがあるが……? やっぱり刀城シリーズだけ読んどけばいいのかなあ……。


 追記: http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20080916 ……どうもそうらしい。


赫眼 (光文社文庫)

赫眼 (光文社文庫)


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