『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
雑誌「ミレニアム」の記者ミカエルは、汚職事件の記事で罠にはめられ、禁固刑を受ける事に。6ヶ月後に刑期を控えた彼を、ある富豪が雇い入れる。40年前、失踪した少女を殺した犯人を捜し出して欲しいと……。苦闘しながらも徐々に手がかりを探し出すミカエル。少女の日記に記された謎の番号を解き明かせず四苦八苦していたところに、謎のEメールが届く。そこには番号が示唆するものの正体が明かされていた。メールの送り主は「スズメバチ」。富豪に雇われる以前のミカエルを身上調査した天才ハッカー・リスベット。ドラゴンのタトゥーを持つ女だった……!
2時間30分はなげ〜と思ったが、主役二人のキャラ描写から丁寧に丁寧にやってくれる。逆にこれぐらい必要かと思わせ、さらにテンポも良くて飽きさせない。苦境に陥った二人が事件に関わるまでをじっくり描きながら、キャラクターの特徴をわかりやすく浮き彫りにする。
メインの事件も40年前のものということで、どちらかというと緩い雰囲気になりそうなものが、古い写真などの小道具を巧く使い、死体描写など合わせて異常なムードもそこそこ煽って来る。もっとも、ここらはテンポ重視。旧家に隠された謎、というと調べるのが大変な印象だが、一番ものわかりのいい依頼者が当主なので、さくさく進んでしまう。横溝っぽい設定なのだが、そこまでねっちりはやらないのね。
解決まで物凄い手間ひまがかかったが、わかってみればシンプルな事件だった、という構成も良い。事件が解決してからもなお、主人公二人のトラウマやら冤罪やらも片付けてくれるので、盛りだくさんですな。
エンドロール後には続編の特報などもついていて驚き。単に1作目の公開が遅いんだよ、という話ですが。
ちょっとグロ目のサスペンスで、水準以上の出来。続きも楽しみだ。でも本は読まなくてもいいかな?
- 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利
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