『ソフィーの復讐』


 人気漫画家のソフィーだが、婚約者ジェフを売れっ子女優のジョアンナに奪われ、傷心の日々。だが、立ち直った彼女は、ジョアンナと以前に付き合っていたらしいカメラマンのゴードンと出会ったことで、計画の数々を実行に移す。ジェフを取り戻し、そして改めて捨てるという復讐のために……。


 あ〜、オレ去年『ホースメン』見逃したんだよね。ワイヤーアクション巨編『女帝』以来、久々のチャン・ツィイーだっ!
 復讐とは物騒な……という感じだが、中身はベタベタのラブコメ。しかし完成度高い……! 出て来る小物やイラストのセンスがえらく可愛らしく、雰囲気作りに一役買っている。それら小道具が雰囲気だけでなく、あるものはストーリーに絡み、あるものはキャラクターを印象づけ、巧みに配置されているのだ。
 ファンタジックで大げさな演出も、それらと有機的に融合し、チャン・ツィイーのマンガ的なオーバーアクトも嫌味がない。メインの男二人がなんとなく影薄くて、あまり個性的じゃないところも、また絶妙。ライバル役のファン・ビンビンのややきつめのメイクとか、全てがツィイーのキャラクターを引き立てるために存在しているのだ。親友役の二人の設定や、母親の存在など、人物配置も絶妙。
 まさに一部の隙もない。演技面でもキャラクターの感情の流れ、表情作りまで、何から何まで計算され尽くしている。
 すごい……なんていう出来映えだ……。まさに圧倒的。どうして日本映画はこんな作品を作れないんだ!?

 
 そして、去年で30になったとは思えない、相変わらずの可愛さのツィイーたん! CGで加工もしてないのに、一点の染みもないぞ!? 最強すぎる! 頼む! 結婚してくれ! まあ実物は相当に性格が悪いという話ですけど……。


 99年の『初恋のきた道』でデビュー、翌2000年の『グリーン・デスティニー』での大ブレイクから早10年、『MUSA』のファム・ファタールぶり、『HERO』ではトニー・レオンやらジェット・リーに弄ばれまくり、『LOVERS』では盲目演技で大暴れ、『女帝』では美味しいところを全部持って行き、最後はプロデュース作品『ソフィーの復讐』で09年を飾ってみせた。
 思えばゼロ年代は、まさに「チャン・ツィイーの時代」であった、と言っていいだろう。いや、むしろそう宣言したい! 
 次回作では、またぜひユエン・ウーピン御大の大ワイヤーアクション映画に出演して、本当の意味での「最強」ぶりを見せつけてほしいものです。まだまだ、あと10年はいけるぜ! 

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