『アバター』


 3D字幕版で鑑賞。今年一本目だぜ〜、ひゃほーい!


 衛星パンドラの先住民族ナヴィの村の地下に隠された資源を狙い、当初は融和政策を進めていた地球人。その要となるのは、地球人とナヴィの遺伝子を掛け合わせて作られた仮の肉体「アバター」であった。研究員であった兄の死によって、そのアバターを得る事になった元海兵隊員のジェイクは、融和政策を好まない軍人の指令により、密かに進められる侵攻作戦の情報収集に当たる事になる。だが、ナヴィの族長の娘に救われ、一族に迎え入れられたジェイクは、やがて彼らとの暮らしに見せられ、侵攻作戦に疑問を抱く……。


 いや〜『ポカホンタス』だの『ダンス・ウィズ・ウルブス』だの『もののけ姫』だのと言われてるお話ですが、いやまったくその通りでした……! もうベタもいいところ。主人公のビデオログという設定で、話の進行もモノローグでさくさく行くし、長尺ながら一瞬も立ち止まらない。もうちょっと溜めてもいいんじゃない?というぐらい。なんつうか、やりたい事、入れたい映像が多過ぎたからこういうことになったんだろうね、たぶん……。


 肝心の3Dも、思ったほど飛び出して来ず。所々効いてる演出もあったものの、大きなインパクトはなかったかな。設備のせいか、空の青みなんかがややくすんでしまい、そこだけはフィルムないし2Dのデジタル上映で見たかったかも。


 ただ、ベタなお話と新技術、ということで普通はそれだけの凡作で終わってしまうのだろうが、そうはさせないのがキャメロンなんだな、というのを実感。技術だけに走らぬダイナミズムが映像にはあるし、相変わらずのミリタリー大好きっぷりや白いタンクトップを見るとほっとするよ。お帰り! キャメロン!
 これが伏線で、ここで助けにきて、続きはこうなって、最後はこうなるな……というのが見ながら全部わかるんだけど、でもそれでも盛り上げて来る演出力。斬新ではないがはっと目を惹くカットも多い。
 実に普通に面白い映画で、クライマックスだけは何回でも繰り返して見たいね! ちょっとからっとした後味を残すラストも素晴らしい。


 うーん、しかしミリタリーマニアで、相変わらずその素養を見せつけるキャメロンなんだが、彼の大好きな兵器群が、弓矢とナイフとドラゴンにぶっ潰されまくるのがちょっと面白い。文明批判というには底の浅い自然主義なんだけど、前作から12年経って、キャメロンもアメリカと軍には何かちょっと冷めてしまったのかな……。


 大傑作とは言わないが、でもいい映画。そして、10年代最初の一本にこれを観た、ということが、いつか何か意味を持つような気がするよ。

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