SRC、青木及び「関係者」への処分を求める。

>われわれ日本格闘競技連盟の構成メンバーは、総合格闘技を真のスポーツとして確立し、いずれはオリンピック種目にまでその地位を引き上げようと日夜努力している立場からも、今回の不祥事は断じて看過することができません

 いや〜、これ本気だったんですね……というのが、失礼ながら最初に抱いてしまった感想。まあ建前にしろ本気にしろ、こういう看板を掲げてスポンサーをつのり、今後の方向性を提示しているんだから、それに沿って行動するのが当然。プロレスに例えて青木の行動を擁護する向きもあるが、お互いの合意のもとに小芝居してるわけじゃないのに、「ネタにマジレス」呼ばわりしても、通じるわけがない。

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 青木は明日のトークショーも欠席だそうで、要は「余計な事言わないように」隔離されたということか?
 面白いのはこの部分、

>青木選手白身はもとより、彼をその影響下におき、煽り立て、結果としてかかる振る舞いに至らしめたと推測される関係者に対して、心からの猛省を促すと共に、然るべき処罰を強く求めます

 関係者って、だ、誰!? と、とぼけたい所だが、

>少なくとも「厳重注意」「反省」といった、お手盛りの言葉とやりとりで

 と後に続いている以上当然その厳重注意をした人物のことで、はっきり名前を出してるわけじゃないが「おい! 笹原!」と言ってきてるのは明白。
 いや〜、笹原Pが、自分たちだけでイベントやらせてもらえず、「おまえらだけじゃダメ」と言われて谷Pに対抗戦をねじ込まれ、実際のところちょっとむかついてた、というのは充分あり得ることだろう。半ば決めかけてたマッチメイク(川尻VS青木)もご破算にされ、子飼いの選手に対する説明も苦労したに違いない。
 しかしながら、不満はあったにしろ、笹原Pはトップダウンの指令を受け入れ、青木その他を対抗戦に送り出すべく尽力し、「全勝します」など精一杯盛り上げようとする発言もした。「検討します」などでグダグダになっていたカードも、内定を裏付ける発言をし、青木や川尻には早期の実現も示唆した。
 公式の発言で、彼が対抗戦に不満を漏らしたことはないし、対抗戦の勝利以上のものを求めたという事実はない。彼は中間管理職的に部下を説得し、上司の顔を立て、必死に仕事をしてみせたのである。内心の不満を押し殺して。

 だが、事もあろうに青木が、

>「笹原さんが『刺しに行け』と言って、しっかり刺してきたので『笹原圭−2010』です」

 親の顔に泥を……リアルエンターテインメントが……などと、なぜかやたらと彼の名前を出し続ける。これは彼の意を汲んだ行為です、と言っているのだ。一見、青木が平サラリーマンのごとく、上司に責任をアウトソーシングしているかのようにも見える。僕は命令に従っただけです……悪いのは命令した上司です……。
 が、青木が責任逃れに笹原Pの名前を出している、というわけでは、おそらくない。きっと、青木真也は笹原Pや彼と組んでるスタッフのことが、本当に好きなのだろう。実際に笹原Pが、「戦極の奴らむかつくぜ! 青木! 腕の一本ぐらい取って来いよ! 刺すつもりでな!」などと本気で命令した、などということは、まずないだろう。「刺しに行け」は山本元気発言のパロディなのだから。
 実際のところ、笹原Pは、内心の不満を匂わす程度の事は言ったかもしれないし、青木に「川尻戦流れちゃうけどごめんな。悪いけど、頼むよ」みたいに、疲れた表情で頭を下げたりしたのかもしれない。だから、青木は、恩人である大好きな笹原Pに、そうして頭を下げさせた……マッチメイクに横槍を入れた……恥をかかせた……SRC勢に対して牙を剥いたのだ。会見であれだけ噛みつき、試合では廣田を完膚なきまでに叩き潰し、侮辱してみせた。
 そして、語る。笹原のためなら何だってする。どこにだって行くし、誰だって刺す。その気持ちが、SRCと並んでこの対抗戦を実現させた人物に対する、「谷川さんだって刺しに行く」にもつながったのだ。

 こうして書いていると、何かものすごい美談のようにも思える。若いヤクザが、親分に対立する組との手打ちを命じられた兄貴分の心情を慮る気持ちのようだ。ヤクザという例えは誤解を生むかもしれない。別に業務提携を命ぜられたサラリーマンでもいいし、市町村の合併でもいい。青木の心情は、笹原Pに対するものに限っては、きっとまっすぐなものなのだ。

 ……だが、青木はあまりにも笹原Pの立場を考えなさすぎた。曲がりなりにも谷Pの命令を受け入れ、内心を押し殺して仕事を全うした笹原Pの気持ちを本当に慮るならば、そうした仕事に手を染めた彼を受け入れ、友人として支えるべきだった。対抗戦という自分の仕事を粛々と全うし、笹原Pが頭を下げたSRCに対して、自分も共に頭を下げるべきだったのだ。格闘家には「試合」という絶対的な意思表示の場が与えられている。青木はあくまで己の関節技で語り、廣田を叩きのめしさえすればそれで良かった。それで、きっと笹原Pの気持ちは安らいだだろう。川尻も勝って、彼らの望んだカードも実現する事になった。それで充分だったはずなのだ。なのに青木は、笹原Pが「内心」を曲げて受け入れた相手に対して、糞をぶっかけたのである。代表選手である廣田を公然と侮辱し、団体を終わっているとこき下ろした。そして、滔々とその笹原Pの秘めた「内心」を、得意げなまでに語って見せた。

 青木の言動が、笹原Pを窮地に追い込んでいるのだ。

 さて、こういう時、笹原Pはどうすればいいのか? 常套手段としては、「いや、あれは青木の暴走です。私は存じ上げません」と言い張るところだ。「そんなことは命じておりません」……実際そうだろう。そして青木に処分を与え、そのような「誤解」を彼に与えた自分の至らなさを反省してみせる……というところか。部下の首を切り、自分の身を守る……どこにだってあることだろうし、誰だってそうするかもしれない。
 ああ、でもそれでは青木があまりに可哀想だ。バカだけど、主人へ忠誠のために招かれざる客に噛みついた犬を処分する……そんな身勝手があるだろうか。青木のしたことは馬鹿げたことだったが、でもそれは笹原Pに対する親愛の気持ちから出た行動なのだ。理屈なら確かに「知らねえ」と言い張っていいかもしれない。でも、そんなことはしないでほしい。ササヤンを愛してる青木を、どうか守って上げて欲しい。
 「厳重注意」している以上、「青木は悪い事をしていない」とは、もはや言い切れまい。何らかのアクションは起こさなければいけないだろう。青木がFEGの下を去るなら、見捨てずに自分も去って欲しい。青木に処分を科すならば、自分にも処分を科して欲しい。オレに見せてくれ、社会の狭間でもがく者の、美しい仁義ってやつを……!

 そして青木が、自己を「犬」ではなく、自由意志のある人間と規定するのならば、人間として笹原Pのために生きたいと願うなら、彼のために今度こそ頭を下げてくれ。内心はそりゃむかついてるだろう。でも演技でもいい。自分が面子を潰したササヤンのために、演技してあげてほしい。亀田弟が内藤に謝罪し、兄が敬語を使いだしたようにだ。
 それができないならば、飼い主の鎖を切って、野生の獣としてUFCにでも行くべきだ。あるいは、ファンはそれを望んでいるのかもしれない。ここまでやったならば、むしろそれが当然かもしれない。その方が自由で、己の生き方に正直で、格闘家としてもかっこいい。

 さあさあ、笹原Pはどう出るかな? ここで本音をあらわにして、谷Pに糞をぶっかけたら凄いんだがなあ。で、国保&吉田道場と合同興行すると……(笑)。

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