『REC2』


 『ブレアウィッチ・プロジェクト』以降、もはや一つの手法として定着した感のある、主観映像で構成された似非ドキュメンタリー方式。そのスタイルでゾンビを撮ってしまうという今作では、この手法でありがちな手ぶれ激しくて酔いまくるという欠点を、第一作では「撮影者がプロのカメラマンだから手ぶれしません」という設定にしてクリア。恐怖演出でも、随所に小技を効かせ、見どころ充分の佳作に仕立て上げた。


 謎の「感染」が発生した、スペインの市街地にあるビル。消防隊、テレビクルー、科学者、内部に入った者達すべて、ビルの居住者ともども連絡が途絶える。調査のために訪れた保険局員の護衛のため、投入される特殊部隊。しかし、中には想像を絶する恐怖と、更なる悪夢が待ち受けていた……!


 ストーリー自体は前作の完全に続きから始まる。
 しかし前作は面白かったとはいえ、「主観視点でゾンビ映画を撮る」というその一点だけで成功したもの。正直、同じネタで続編をやったところで、物量頼みの二番煎じになるだけではないか。さらに、同じビルが舞台と言う事で、その物量もやや増し程度に止まるのではないか。そんな危惧を抱いていたのである。


 ところが、映画は前作のラスト、少しばかりふられていた伏線を足がかりに、思わぬ方向へとシフトしていく。複数のカメラが持ち込まれる事で広がりの出た恐怖演出は、基本的に変わりないが、やや唐突とさえ思えるオカルト要素の投入をもうまく取り込み、前作になかったシチュエーションを多数生む事に成功した。「これ『○○○○○』じゃん!」と某映画へのオマージュに対して突っ込むのはたやすいが、スケールアップと方針転換、大風呂敷は続編の常套手段なのだ。これぐらいやらねばパート2は務まらん!
 クライマックスのサプライズも抜かりなし。前作と2本合わせてスッキリ終わる、素晴らしき娯楽映画シリーズとして完成した。どこか『ソウ』と『ソウ2』の関係とも似ているな……。というわけで、これ以上の続編はなしの方向で(笑)。まあ作ったら観るけど……。

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