『トランスフォーマー:リベンジ』


 メガトロンの敗北より1年……地球に残ったオートボット達は、米軍に協力し、ディセプティコンの残党と激しい戦いを続けていた。
 だが、遥か宇宙の彼方で、それは確実に動き出しつつあった。太古に地球に飛来した「ザ・フォールン」が、地球を狙った真の目的のために覚醒する。
 そして、大学に通い出したサムは、「オールスパーク」の欠片に触れたことから、不思議なビジョンを見るようになっていた……。


 米軍基地から、人間の兵士のバックアップを受けつつ出撃するオプティマスたちがかっこいい。このシリーズは、常に人間との共存をテーマにしてたんだよね。
 で、しばらくはオートボットたちのサイドと、サムが大学で寮に入ってどうとかのパートの同時進行。この大学パートがひどく(笑)、ベタなギャグと下ネタのオンパレード。しかし、トランスフォーマー側の圧倒的な映像の迫力と同じく、このギャグパートでも物量に圧倒される。もうしようがねえ、という感じで、犬小屋が爆発するとことか、時々笑ってしまった。


 主人公のサムは、オタクだが割合まともな人間。しかし、そのまともな人間性をズタズタにしそうな勢いで襲いかかる、周囲の奴らがうざすぎる。両親がうざい、犬がうざい、教師がうざい、ルームメイトがうざい、トランスフォーマーがうざい、米軍がうざい、彼女までが時々うざい。この世にうざくない奴はいないのか? そんな状況に対して奮闘する主人公の姿に共感……はしないなあ(笑)。なぜか彼はこの本質的うざさよりも、状況の危険さにばかり意識が行っているのだ。もう少し周囲に彼の事を考えてくれるまともな人間がいれば、こんな状況にはならないような気がする。彼は今一度、人間関係に目を向けるべきだ……が、これがマイケル・ベイの世界だからなあ。


 中盤の衝撃の展開と、なぜトランスフォーマーたちは地球にやってきたのか、という謎を解き明かしつつ、クライマックスに向けて事態は動いて行く。世界各地で進行していたストーリーが、最終的に一点に収束して行く流れはなかなかいい感じ。途中でスミソニアン博物館にも行ったりしてそりゃあ『ナイトミュージアム2』だよ、と突っ込んだりしたが……。飛行機が動いてるのも同じだし……。


 前回のクライマックスは市街地だったが、今回は砂漠の街。
 徐々に勢力が集結し、劣勢の人間とオートボット側も、現地の軍隊や米軍海兵隊の増援を投入し必死の防戦を計る。
 ここらの流れが適当なようでいて結構計算されている感じ。両軍共に奥の手が次から次へと出て来て、戦況は振り子のごとくゆれ動く。助かった!と思ったら足下を掬われ、やられた!と思ったら思わぬ助っ人が登場したり。ベタベタなギャグは減らず口以外は影を潜め、もうそれどころじゃなく、人間もトランスフォーマーも皆、必死。そして冷静に考えるとちょっと笑ってしまうシリアスシーンから、奇跡の大逆転へ!


 とにかく詰め込んで盛り上げての連続で、まあここまでやるのか、という感ありありの超大作。
 大ヒットらしいし、続編も間違いないだろう。
 次回作ではついにユニクロン様が飛来するかな?

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