『消されたヘッドライン』

 試写で鑑賞。


 軍事企業傘下の傭兵によるイラクでの非道を告発した議員。だが、彼の調査員であり不倫相手でもあった女の突然の事故死、そして不倫の暴露……。議員の友人である新聞記者は不審なものを感じ取り、軍事企業によるスキャンダル作り、陰謀を疑う。事件の目撃者を消して行く元兵士と思しき男の正体とは? それは巨大企業による、米軍の民営化へ向けての陰謀なのか?


 主人公が新聞記者ということで、おなじみの「輪転機が回るまでに入稿せねばならない」というタイムリミットが設けられる。ラッセル・クロウ演じる記者はベン・アフレック議員とは友達で、なおかつその妻と浮気した負い目を抱えていて、それでもなお真実を報道したい……と色々な柵に縛られている。入稿をせっつく編集長や、有能だが経験不足の助手など、脇のキャラクターも豊富。さらに元兵士が容赦なく撃ちまくって追いかけて来て、締め切りと事件の謎の両方に追われることに……。


 ほんとに盛りだくさんで飽きさせないんだが、なんかどっかで見たような話のような気も……。このインターネット時代になっても、新聞ってのの価値観、あるいは価値そのものはそれほど変わってなくて、現代で作劇してもさして内容は変わらないんだな。90年代になんかこんな映画見たような気がしたけど、そのせいか。


 切れ気味の編集長ヘレン・ミレンが締め切りと急かす度に、事件の真相とどっちが大事やねん、と思ったが、一応ラストは、報道とは、新聞とは、記者とは、というテーマに持って行って締めた。うん、なかなか良く出来た映画だったよ。
 しかし地味だ……そして、なぜ今作らなければならなかったんだろう……?