『ワルキューレ』
ヒトラー専制下のドイツ。
独裁に反感を抱く勢力は、ヒトラーを暗殺し、ドイツを取り戻すためにある計画を発案する。治安維持のための予備軍動員計画「ワルキューレ」を利用し、ヒトラーを暗殺した後にSSに反乱のレッテルを貼り、一網打尽にする……。
空前絶後のクーデター計画を指揮するのは、隻腕隻眼の将校、シュタウフェンベルク……。
ブライアン・シンガーの演出、大好きだあ〜っ!
地味〜に人物描写をきっちりやりながら、CGを極力抑えつつも大作感を醸し出す……。『ゴールデンボーイ』『XーMEN』でナチスとユダヤ人を裏テーマとして描いたシンガーにとって、今作は決して避けては通れぬ、どうしても撮りたい素材だったんだな。
冒頭のわずか数分の爆撃シーンの臨場感によって生みだされた「目の覚める」感覚に引っ張られ、ともすれば地味にも映る陰謀劇が、壮大かつ深遠なものとして認識され、緊迫感を失わずして描かれる。
いよいよクーデターが発動した瞬間の緊迫感と来たら、もう……!
もちろん、史実では失敗したとわかっているのだが、その失敗に至るまでもギリギリの駆け引きが展開されていたことが、細かな描写に下支えして描かれる。素晴らしい。
ポール・バーホーベンの傑作『ブラックブック』の、いい意味での泥臭さ、生々しさが欠けているところが、ハリウッド映画の限界か。だが、そのスピリットだけは、カリス・ファン・ハウテンの出演、その存在感によって幾分なりとも継承されたのだ。
大爆発もスペクタクルもなくても、大作は作れる……。
ひさびさにその認識を新たにさせてくれた秀作。
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