『機動戦士ガンダムUC １ ユニコーンの日（上）』福井晴敏

機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

　テレビシリーズのノベライズを読んで「うーん」となってしまうのがガンダム小説の常だが、今作はベストセラー作家にしてガノタの代表・福井晴敏が、満を持して「ガンダムエース」に月一連載！

　時代はシャアの反乱後。平凡な少年である主人公と、謎の少女との出会い。地球連邦をひっくり返す力を持つと言われる謎の物体「ラプラスの箱」。そして、神話の獣の名を冠された、一本角の白いモビルスーツ……。
　凡人であるはずだった主人公が、運命の渦に巻き込まれる、という展開はファーストガンダム以来の伝統的なものなんだが、その主人公の出自はどうも平凡とも言い切れないものがあるらしく、「ラプラスの箱」という大仰な名前のアイテムの存在も手伝って、全体の肌触りはまさに福井小説。これから宇宙世紀ガンダム的小道具が絡んで、どういう化学変化を起こすか……自衛隊がガンダムに変わっただけのいつもの福井小説になるのか、どことなく富野の影がちらつくような作品になるのか？　たぶん前者だと思うけど……（笑）。

　たぶん主人公はニュータイプになるんだろうけど、福井小説の主人公の定番は「ヒイロ・ユイ」なんだから、そっち系のキャラもぜひ登場させて欲しいなあ（笑）。初投稿作『川の深さは』のラストを「任務完了……！」で締めた奴には、それぐらいの責任はあるんじゃないか？

　で、この１巻を読んだだけでは、まだ「白い奴」はちらりとしか登場せず。主人公は乗ってません……。アニメの第一話だったらこんな構成はありえないだけに、小説ならではの贅沢さですな。
　とりあえず、３巻までは買ってあるので、ぼちぼち読もう……。

川の深さは (講談社文庫)