『モザイク事件帳』小林泰三

モザイク事件帳 (創元クライム・クラブ)

モザイク事件帳 (創元クライム・クラブ)

 「倒叙」「犯人当て」などお題付きの連作ミステリ。


 登場人物のほとんどが、今までの作品に登場済みということだったのだが、Σ以外、全然覚えていなかった。これは単にシチュエーションに応じて出てくる役割だけのキャラクターだからであって、別に個性なんてないからである。そういう意味ではΣも同じなんだが、これは設定だけで印象に残るキャラだからなあ。


 しかし、ストーリー性やキャラクター性などを求めなければ、SFも交えたひねりの効かせ具合など、圧倒的な完成度。逆に、キャラクターの非人間性(笑)が黒い笑いを生み出す。ギャグとしてはテンポが悪いけど。
 東野圭吾の『名探偵の掟』はあまりのクソさに驚いたんだが、発想は同じでもここまで面白くなるのか。
 ひさびさに読んだけど、やはりいい物を書くなあ。『天体の回転について』も買うべきか?