旅日記第二日目 椿道旅館茫漠編

 朝から曇り空である。前夜はいまいち寝付かれなかった。夕方ちょっとうたたねしたせいであろう。朝食に合わせて、7時に起きる。仕事もないのにこんな早起きなど、信じられんよ。これが食事付き旅館のしんどいところであるなあ。
 1階に休憩室があるので、そこで新聞を読む。さすがにネットにつながないと、つい隅々まで読んでしまうな。昨日の野球の記事や、靖国問題やらあれこれ。
 旅館の奥さんが、上の階に上がっていって、どこかの部屋をノックしている。部屋の主はなかなか出てこないらしく、かなり何度も叩いている。誰だろうね、まだ寝てるのは……早く起きればいいのに……って泊まり客はオレしかおらんがな! 
「すんませーん、降りて来てるんですけど〜」
 慌てて降りてくる奥さん。さて、朝飯である。昨晩もそうなのだが、ご飯がミニおひつで出てくるのである。だいたい、四膳分くらい入っている。今朝は豆ご飯だったのだが……全部食ってしまった。焼き魚やら煮物やら朝飯もあれやこれや色々。
 さて、食った後で部屋に戻り……あ、ねむ……。旅行前もそうだったのだが、全体的に睡眠不足であった。横たわった瞬間、睡魔が……うーん、ま、いいか……。
 コンタクトをしたまま熟睡してしまった。気が付くと、2時半であった……。5時間半ほど昼寝してしまったことになる。外を見ると、まだ曇り空。あと3時間半もしたら晩飯だと思うと、出歩くのもおっくうになった。
 せっかくだから、旅館の裏手に出てみる。昨日吠えてくれた小さめの犬(名前はクマ)はやはり愛想がなく、オレに対して激しく吠え、近寄ると逃げてしまう。対して他の二匹(クリとシロ)は……な、なんだ!? この興奮ぶりは! 物凄い勢いで顔をなめられた。尻尾を振って異様にはしゃいでいる。愛想がいいのはいいんだが、初対面の人間にこんなことでいいのだろうか。あまりに興奮し過ぎで、なんというか……下品なんですが……勃起してますね……((C)吉良吉影)。
 ふと気が付くと、シャツが泥だらけにされていた。うーん、昨日の雨のせいだね。休憩室で勝手に茶を沸かして(セルフサービスなのである)、読書に勤しむ。至福。
 そうこうしているうちに夕食。前菜に続いてお造りが登場。ん? わさびがないわよ? と思ったら、あわてて奥さんが持って来た。ついでに生ビールを頼む。奥さんはサーバーにグラスを近付け、コックをひねる……その瞬間、泡が大暴発! びびるくらい床が泡びたしに! ふふん、あんた、ドジッ娘だろう。
 瓶でも良かったのだが、再挑戦で生ビール登場。ビールを飲んだのに、ご飯もきっちりまた四膳食っている。伊勢エビがうまかった。
 部屋に戻って、読書の続き。普段全然みないニュースやバラエティなど見て、さらにぼーっとする。こうして何もしないまま、二日目の夜も更けていくのであった……。