“青春の儚さ”『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』(ネタバレ)


映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』新予告

 あのゲーム映画の続編!

 居残りをさせられていた四人の高校生は、「ジュマンジ」と書かれた謎のゲームを発見。退屈しのぎにプレイしようとした彼らは、なんとゲームに吸い込まれ、自分とは全く違う姿になってジャングルに放り出される。特殊なスキルと三つのライフを持つキャラになった四人は果たして現実世界に帰還できるのか。

 さすがにボードゲームでは題材が古すぎる、ということになったのか、今回はテレビゲームに進化しました。しかしテレビゲームと言ってもファミコンのカセットみたいになってて、やっぱり古いものは古いのだが!
 てっきり最新のFPSみたいなことになってるのかと思いきや、そんなカセットになってるのも実はお話に仕掛けがあり、プレイする人間の間に何十年もタイムラグがあるのだ。
 ゲーム内に入って別の人間になって、実世界そのもののようなジャングルでプレイできるということで、VR的体感型のような面もあるが、ライフが三つだったりNPCが決まったことしか言わなかったりと、レトロな側面もしっかりある。ライフ表示が3本の帯というのも懐かしいな……。

 しかしお話はレトロゲー世代のおっさん向けではまったくなくて、そのゲームにうっかり足を踏み入れてしまったティーンの高校生たちを主軸にしている。人物配置がオタクにマッチョ、インスタ映えに喪女で、それがそれぞれ自分と全く違う外見のキャラに成り変わり生死を賭けたゲームに挑む。『ブレックファスト・クラブ』を彷彿とさせるティーン向け青春映画で、最近では『パワーレンジャー』を彷彿とさせる。環境の変化、スクールカーストの異なる面子と過ごすことによる気づき。

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 基本的には楽しい映画なんだが、登場人物の置かれてる状況は結構ヘビーだ。NPCの無機質さが怖いんだが、これが引いては「ジュマンジ」というゲームそのものの感情のない無機質さともつながってくる。プレイヤーを吸い込んでは何十年も飼い殺しにして、それで何の目的もなく、ただひたすらに作動し続けているのが結構恐ろしい。ライフなくなったらお陀仏だし、ゲームなんだが全然楽しくないな……。
 これは高校時代が、コンテンツとして傍目から見ていると一生懸命で輝いて見えるが、経験した当事者から考えると一回やりゃあ充分なもので、楽しかった瞬間があったりそれで成長があったとしても、もう一回やるとかうんざりするのと似ているかもしれない。

 ゲームというのは何十時間も何日も遊ぶもので、そう考えるとこのゲームはステージ数も少なく、若干の食い足りなさも感じる。割合、あっさりとぶち壊してしまうラストも含めてな……。だが、それこそが青春時代の儚さにも通じるのかもしれないですね。