“青春の裏側”『芳華』
中国映画祭電影2018にて。
軍属の芸術団に夢を抱いて入団したフー・シャオピンは、農村出身の為にいじめに合うことに。純朴な青年リュー・フォンは彼女を助けようとするが……。激動の時代を迎えた中国で、若者たちは翻弄され、より過酷な運命へと巻き込まれて行く……。
アジアン映画祭の同時間帯のチケットが取れなかったんで、こちらをチョイス。しかしアジアンとこの中国映画祭は提携イベントなのだが、この時間帯のバッティングぶりはいったい何なんだ……。
フォン・シャオガン監督作で、前作『わたしは潘金蓮じゃない』以来。文革頃の中国を舞台に、軍付きの舞踊学校における青春の悲喜こもごもを描く……。いや、非常に映像が美しく、さぞキラキラした青春が描かれるのかな、と思いきや、主人公格の男女への風当たりが異様に強く、陰湿とさえ言えるいじめが頻発!
中盤にはベトナムとの戦争が勃発し、主人公たちは離れ離れになり、さらなる悲劇に見舞われるのであった……。舞台となる学校からこの二人が弾き出され、学校に残った語り部的キャラたちもドロドロとした人間関係に悩まされる。
いや、この映画は「青春ものを撮ろうとしておかしくなった」んじゃあなくて、こういうシビアな現実を描くことこそが主眼で、それじゃ金も集まらんし映画作れないからキラキラした青春ものの皮をかぶっているんだと思う。
『唐山大地震』の描写もハードだったが、戦争シーンでもいきなり兵士が木っ端微塵のバラバラになり、ハードコアな殺戮描写が繰り広げられるから仰天したわ。そこで心を病むヒロイン、片腕を失う男……。
兵士たちの慰問に行われる舞踊がまた実に空疎で、それを見て過去を取り戻したヒロインが一人舞うシーンが美しく撮ってあるあたり、狙いは明白だと言えよう。直接的なメッセージを発することなく、国策の学校はその歪さ、戦争はその無惨さをひたすら描き続けることで、批判へと変えようという構造。
結果的に変な映画になってしまった感はあるが、さすがの見ごたえはあって良かったですね。主演のホアン・シュアンはこの後の『空海』でも白楽天役で頑張っています!
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