”静寂の中で”『ダブル・サスペクト』


映画『ダブル・サスペクト 疑惑の潜入捜査官』予告編

 のむコレ第三弾!

 香港国際警察のホン警視は、死の間際、部下である潜入捜査官たちのデータを全て抹消した。その中の一人「ブラックジャック」と呼ばれる人物からのメールを受け、ディン捜査官とQ警視正が捜査を始める。巨大な麻薬取引に行き着いた二人の前に現れた、二人の関係者……ブラックジャックはどちらなのか?

 ルイス・クーとニック・チョンのダブル主演作で潜入捜査もの……なんか『レクイエム』からラウ・チンワンを抜いたような感じね。
 東京での初回上映で、前半に音楽がないデータが使用されたそう。前半はコメディタッチの軽いノリが続くので、これで音楽なしは厳しかったろうな……。

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 データの抹消された謎の潜入捜査官が一人いて、ダブル主演のどちらかが本物、もう一人はそのなりすましである……ということで、それがいったいどちらなのかということをフランシス・ンが部下とともに探る。
 大筋はシリアスなストーリーがあるのだが、とても真剣なことをやってるようには見えないコメディ演出で始まり、それが急転直下、中盤で人死にが出てどシリアスになり、さあ本題かと思うとどんどん馬鹿げた展開になってラストは壮大な浪花節に……と、これぞ香港映画というしかないごった煮展開に! シリアスな役もしっかりこなせるんだけど、何がしかの面白さが常に漂うニック・チョン、ルイス・クーの両雄の個性が映画を成立させている。

 『戦狼』の時も思ったのだが、製作会社が五つぐらい関わっていて、映画の始まる前にそれぞれのロゴを流すから、本編はいつ始まるのかと思ったではないか。今作もとてつもない超大作という部類ではないが、やっぱり相当金がかかっていてちょいちょいブラジルロケなんかも入れてくる。
 ブラジルで取引するシーンで、幾多のブラジル人を相手に回すルイス・クーは、やっぱりブラジル人より色黒であった。そして、二人を護衛する傭兵部隊の隊長は、イップ・マンの弟子の人ことシン・ユー! 腕利きであり一言も喋らないしあの顔だから、さすがブラジル人傭兵役でも違和感がないぜ………と思っていたのだが、普通に中国人傭兵の役だったらしい。クライマックスでもう一回出てきた時も「ブラジルの隊長」と呼ばれてたがな……。
 そして香港の鶴瓶ことホイ・シウホンも出ている。『ゴッドギャンブラー・レジェンド』でも見たが、『暗戦』の18年前とほとんど変わらんような……。

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 これは本当にアベレージ通りの香港映画という感じで、まずまず面白かった。のむコレが次にもあるなら、この水準をキープしてほしいな。映像素材には気をつけてな……。