”僕にはまだ、帰る場所が”『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(ネタバレ)


映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』日本版予告編

 リミックスと言ってますけど、続編です!

 黄金の惑星の艦隊に追われるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだが、間一髪、謎の男に助けられる。男の名はエゴ、”スターロード”ピーター・クイルの正体不明だった父親だった。エゴの星に案内され、彼の星そのものと言える力に魅了されるピーター。やがて仲間との関係にも亀裂が……。

 ジェームズ・ガンが続投した二作目。前作で謎のままになっていたスターロードの「父親」を主軸に据え、新たな展開を見せる。冒頭は若かりし頃の両親がいる地球。謎の花を植える若作りのカート・ラッセル……。

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 舞台は現代に戻り、おなじみのメンツが早い段階から総登場。正直、このシリーズに別に思い入れがないので、前半は少々しんどい。ガン監督の上手さはわかるんだが、「俺ってセンスあるだろ?」というひけらかしに近い演出もチラチラあって、わかったわかった……という感じもあるのだよな。いつものぬめったガジェットへのこだわりも、宇宙船のギミックレベルでは少々浮き気味のような……。

 一作目は「お母さんとの思い出」がオープニングとエンディングを締めくくり、それこそ主人公ピーターの中で「揺るぎない良きもの」として設定されているんだよね。で、今回はその母が愛した父の物語である、と。必然的にロマンチックなお話かと思いきや、かなり豪快にひっくり返してくる。惜しむらくは役名が「エゴ」だから、サプライズにも何にもならんことだが……。まあこれは原作ありきだからしようがないか。
 アライグマとか木とか、宇宙人でも「少々カルチャーギャップがありますのお」ぐらいの齟齬で済んでいたのが、初めてまったくの異生物らしく価値観が根本的に異なる相手に出くわし、しかもそれがよりによって自分の父親だった、というゲロを吐きそうな事態。母親は実は殺されていて、地球は壊滅危機、自分にもその父親と同じ力が……と、アイデンティティ崩壊レベルの事実が立て続けに明かされる大ショック。
  ……が、まあ父親はもう一人いたからいいじゃん! と、これまた豪快な着地を見せる。ヨンドゥって、前作見ただけだと人さらいの悪党だったのだが、その行動の裏には思わぬ理由があったことが明らかに……。親の心子知らず、的な話だが、父親と息子のコミュニケーション不全にも通じる話ですね。

 話が宇宙規模になるとガンちゃんのグロ趣味も俄然大げさに面白くなって、反面、話のまとめ方はスムーズそのものの手際良さ。チームの複数のメンバーのバトルを同時に処理するあたりは、大勢を無駄にスモークの中をウロウロさせたデヴィッド・エアーあたりにも、見習わせたいところだな……。

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 父子関係のみならず、チーム全体を絡めたファミリーものとしてまとめてくるので、エンディングも非常に座りがいい。よくよく考えると、かなり悲惨かつおぞましい話なんだが、トラウマとして引きずらせずに、スパッと片付けたあたりも良いですね。僕にはまだ、帰れる場所がある……こんなに嬉しいことはない……!

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