”今日は素敵なバレンタイン!”『52Hz,I LOVE YOU』


『52Hz, I LOVE YOU』 予告編 Trailer

 大阪アジアン映画祭2017、四本目!

 花屋を経営する小心は花束を届けながら運命の出会いを待ち受け、パティシエの小安は叶わぬ恋を抱きながらスイーツを作り続けていた。バレンタインデーにそれぞれ配達に出かけた二人は、最悪の出会いをするのだが……?

 『セデック・バレ』のウェイ・ダーションの最新作。あの大作に続き『KANO』も製作して、ちょっと疲れてしまった……ということで撮ったということらしい。まあ小品という意味合いで受け取って構わないと思うが、非常にシンプルな代物。メインの四人のキャストは全員役者ではなくミュージシャンだそうである。確かに、言われてみればそれぞれ雰囲気はあるものの演技力にはばらつきがある感じで、何かしらオーバーアクトね。

chateaudif.hatenadiary.com
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 バレンタイン当日、四人の男女の恋模様を描くという単純なプロットなのだが、いや……これ、30分ぐらいで済みそうな話なんだよな。でも、場面が変わるたびに延々と歌い踊り続けるのでつらい! いやまあ、ミュージカルってこういうものだよね……ということだが、あまり事前情報入れてなかったせいでミュージカルとそもそも知らなかったので、速攻で帰りたくなったよ。

 で、単純な話であること自体はいいとしても、長期にわたる恋愛関係で起きたすれ違いが、楽曲と踊りのムード頼みでなんとなくうやむやになる、という、展開とさえ言い難い展開がクライマックスを締めるのにはいささか呆然となってしまった。これは明日また揉めるんじゃないの……?と心配になってしまう。

 全登場人物が、恋愛したくてたまらない、結婚したくて焦っているという恋愛体質映画で、そこに異論が挟まれる余地もない。まあこういう価値観を共有できないと話にならんわな……。

 楽曲はまあ良かったし、サブキャラで登場するLGBTのカップルは非常にスマートで、台湾のほんわかした雰囲気も含めていいところもあるのだが、なかなかつらいものがあったでござるよ。やっぱりウェイ・ダーションは気合い入れて神経すり減らして殺伐たる超大作を撮り続けてほしいな……。

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