”入れ替わってるう!?”『メン・イン・キャット』


映画『メン・イン・キャット』 君のニャは。編① @11/25(金)全国ロードショー!

映画『メン・イン・キャット』 君のニャは。編② @11/25(金)全国ロードショー!

 猫映画

 北半球一高いビルを建造することに熱心なワンマン社長のトム。家族との時間を犠牲にし、経営陣の意見も聞かず目標達成を図る。ある日、忘れそうになっていた娘の誕生日のプレゼントを手に入れるため、ペットショップを訪れた彼は、怪しげな店主から「もこもこパンツ」という猫を購入。だが、誕生日パーティに向かおうとした矢先、重役のイアンに突然呼び出されて……。


 さっそく『君の名は。』に引っ掛けた予告など作ってたりして商魂たくましい宣伝態勢でしたが、映画もまさしく「入れ替わってる!?」な内容でありました。『メン・イン・キャット』という邦題も監督がバリー・ソネンフェルドだからで、『メン・イン・ブラック』とは1ミリも関係がありません。

chateaudif.hatenadiary.com

 ケビン・スペイシー演ずるワンマン社長は、会社の金をぶち込んで北半球一高い自社ビルを建造。会社の資産価値は相当あるのだが、自社ビルに金を使い過ぎており、売却を目論む重役達は苦虫顔。だが51%の株を持つ社長はどこ吹く風。自社ビルはNYににょっきりと建っており、これってスターク・タワーのパロディかな。
 仕事にかまけてて、秘書にしてる前妻との息子、再婚相手のジェニファー・ガーナーと娘とは、仲悪いというほどではないが少々コミュニケーション不足。

 さて、お定まりの内容として、ひょんなことから猫の身体に入ってしまった社長が、これまでの行いを振り返って改心するということに当然なる。なるんだが、見直すのはあくまで家族関係であり、ワンマンな会社経営に関しては一切反省せず、「うちはこれからも同族経営!」と自社ビルを守るのであった。重役達は完全に悪役扱いで、家族の絆を金で売る連中として描かれる。
 このグローバルなマネーゲームに対して否定的な価値観は実に保守的であるが、自国主義をぶちあげたトランプ的アメリカ世論を反映しているのかもしれないですね。

 主役猫「もこもこパンツ」君は、クレジット見ると四匹ぐらいで演じていた。CGも多用しているが、動きがなかなかリアル。ありえないジャンプやアクションをしても、猫ならこう動くだろう、というのを突き詰めた表現をしている。立ち上がったり直接しゃべったりというような、ディズニーアニメみたいな気持ち悪い擬人化をしてないのも好感触。
 で、あくまで物語を解決に導くのはケビン・スペイシーである中の人であり、猫自体は別に何もしないというところが、超役に立ってないというところが素晴らしい。猫というのはそういうものです。

 また妖精のような役で現れるクリストファー・ウォーケンの安定感も圧倒的ですね。大した映画じゃないが、ほどほどに面白い。
 ……が、見に行った日の客層はやっぱりやたらと猫好きが多くて、最初のyoutubeのところからすでに「かわいい!」「きゃー!」と黄色い声が……。たいがいのアイドル映画はこれに及ばんだろうよ……。

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