”魔女は俺が倒す”『ラスト・ウィッチ・ハンター』


『ラスト・ウィッチ・ハンター』予告編

 ヴィン・ディーゼル主演作!

 かつて、魔女の女王を滅ぼすも呪いを受け不死となり、800年生き続けている戦士コールダー。ウィッチ・ハンターとして現代で人間と共存できない魔女を駆る彼だが、ある日、相棒であるドーラン神父の36代目が何者かに殺されてしまう。37代目ドーランとともに敵の正体を探る彼に、思いもかけない形で仇敵が立ちはだかる……。

 『高偏ゾン』と同時に公開されましたが、あちらは三週、こちらは二週で終了という憂き目に遭いました。まあスクリーン足りなくて打ち切りだな……みんな『君の名は。』が悪いんや……。

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 魔女狩りの時代から生き続ける男がヴィン・ディーゼル。魔女によって妻子を失い、復讐のために魔女の女王と戦い、死闘の末倒したものの末期の呪いによって不死にされてしまった、という設定。その頃は髪の毛とヒゲがあったが、時代は流れ現代。すっかり垢抜け、スキンヘッドで決めるように……完全にいつものヴィン・ディーゼルです。
 その昔、『ペケ』という4コマ漫画で、現代にタイムスリップして来た桃太郎が「高橋秀樹」というあだ名をつけられ、最初は「鉄のイノシシだ!」とかお約束の反応をしてたのが、段々と平成の世にも適応してすっかり垢抜けていた……というのを思い出しましたね。

 現代においては魔女の血族は散り散りになり、男女問わず能力の継承者がそこかしこにいて、ヴィン・ディーゼルは最後のウィッチ・ハンターとして、悪意がない人は保護して魔力を濫用しないようにし、悪者は成敗する、という仕事にたずさわっている。助手はマイケル・ケイン。魔女狩り時代の相棒の後継者の後継者の後継者の……今や36代目。見た目はもちろんマイケル・ケインの方が爺さんだが、ヴィン・ディーゼルは800年生きてるので若造呼ばわりだ!

 どこが特別面白いか、ということもないのだが、普通に退屈せずに見ていられる映画で、まあこれはハゲのスター性ゆえかな……。作中でもモテモテで、世界中を飛び回りつつ常にフライトアテンダントに声をかけてお楽しみ、という設定。しかしヒロインの子は地味な魔女っ子で、死んだ妻ともスッチーともタイプが全然違ってて、こういう子と付き合って再び真面目になる……というのは、マッチョからの卒業みたいで面白い。

 不老不死の呪いには、未だ現存する魔女の心臓が介在していることが明らかになり、後半はその心臓の行方を追う戦いに……この設定は、『スーサイド・スクワッド』のエンチャントレスのエピソードを独立させたような感じね。心臓を取り戻し、復活した魔女の女王は、かつてヨーロッパを席巻した黒死病の呪いを再び解き放つ……! このカタストロフィ描写は、大量の蝿などいかにも魔女っぽくストーリー的にも整理されて、やっぱり悪役を一キャラに絞るとちゃんと描き込めるんだなあ、と当たり前のことを考えたのであった。

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 37代目の助手としてイライジャ・ウッドも登場し、なんだか相変わらずの役だったな……。マイケル・ケインの後継は映画によってトビー・マグワイアだったりイライジャ・ウッドだったりするのだが、傾向としてはどことなく似ているような気がしますね。

 まあ特別オススメもしないが、見て損というほどではない、という映画……これだけ早く上映終わってはどうしようもないがな!