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”王様は服を着ている”『サクラメント』

映画


 イーライ・ロス製作・脚本。


 過激な取材で知られるVICE社のレポーターとカメラマンは、エデン教区と呼ばれる場所へ取材に出かける。そこから妹の手紙を受け取ったパトリックは彼女と再会。薬物中毒であったはずの彼女は「ファーザー」と呼ばれる指導者の元で構成し、多くの信者たちと幸せに暮らしている、そのはずだったのだが……。


 ロスト・フッテージもののPOVということで、『グリーン・インフェルノ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20151218/1450452754)と抱き合わせで公開。実際にあった集団自殺事件を背景に、カルト教団の一夜を描く。


 いや、しかしマジに一泊二日のテレビ取材の間だけしか描いてないので、複雑な背景のある実際の事件の表現としてはいかにも物足りない。Wikipedia見たら詳しく書いてあるのだが、映画に入らなかった描写があったらさぞ面白かったろうと思うのだが……。


 教祖のカリスマ性、組織の閉鎖性、その裏で繰り返される洗脳、監禁、拷問、性暴力など……いやはやおぞましいことがてんこ盛り……なんだけど、あまりに集団自殺の瞬間に注力しすぎてて、そこまでの過程がそれぞれさらりとしか描かれていないので、なんとも食い足りない。同じネタなら『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130313/1363170404)の方がはるかに面白いぞ……。


 実話のシチュエーションが最初にあるところに、POVの体裁と一泊二日限りの主人公の行動を詰め込んでるので、最初から最後まで主人公たちの行動も窮屈で無理があり、いかにも構想倒れな映画だな、という印象。ヘリのパイロットが撃たれたのに「なんとか操縦できる!」あたりや、最後に逃がしてもらうところも含めて、ファウンドフッテージものに仕立て上げるために筋を曲げたようで、いかにも苦しいな。
 同行してきた信者の兄が、教団への取り込みを狙われて3Pサービスを受けてるのだがそこも台詞だけで映さないし、インタビュアーやカメラマンにはそういう面白いイベントが起きず筋の説明ばかりだったところもマイナスでありました。


 突然取材に来た人間からすると、教祖にカリスマ性があるのかないのかよくわからないところはリアルで、「初対面だからよくわからないけれど、みんな心酔しているからすごいんだろう」と思ってしまうか否かが、実際にこういう事態に直面した時の対応の分かれ目なのではないか、という気がしましたね。結果、愛人囲ってるヤク中だったわけで……。
 とは言え、王様が一目瞭然で裸ならそう言えばいいんだけど、どうもバカっぽくて怪しいんだがとりあえずちゃんと服は着ているぐらいだと、なかなか突っ込めないという心理もわかるのであった。

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