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"天地推命によると"『極秘捜査』


 キム・ユンソク主演作。


 誘拐された少女を救出するために結成されたはずのコン刑事のチーム。だが、事件発生から一ヶ月が過ぎる頃には、コン以外は誰も少女の生存を信じようとはしなかった。一方、母親は高名な占い師を訪ね歩いていたが、彼らもまた少女の死を占ってみせるばかり。だが、唯一キムという導師だけは娘は生きていると言い……。


 大阪韓国映画祭にて鑑賞。上映後はユンソク氏自身も来場してトークショーということで、大盛り上がり。客も「わかってる」人ばかりで、作中、彼が棒のようなものつかむとどっと笑いが……。


 映画は実話ベースということで、キム・ユンソク演ずる警官を中心に、わりかし淡々と進む。もう一方の主役がユ・ヘジン演ずる風采の上がらない占い師。後半はバディものになるのだが、出会うまでは別個に描かれる。
 キム・ユンソク主演作『チェイサー』も警察の捜査への批判が込められていたが、今作も同じく、日にちが進むにつれて人質の安否を軽視し犯人逮捕ばかりに注力する警察の姿が描かれる。
 誘拐された少女の家族は、高名な占い師のところを回って安否を尋ねるが、どこも「すでに死んでいる」という結果ばかり。実際、いい加減に確率高そうな方を言ってるだけなのだが、唯一、ユ・ヘジン道士だけは「生きている」と言い切る。どっちが正しいのか、ということはわからんのだが、家族の心情としては藁をもつかみたい気持ちでそこにすがるし、同時に警察に対しても「生きている」という前提での捜査を求めていくこととなる。組織の論理で動き、また内部では手柄争いに血道をあげる警察だが、唯一、キム・ユンソクだけが動き、ユ・ヘジンと組んで捜査することに……。


 サスペンスものとして見ると緩くて緊迫感が足りず、これは誘拐されている少女の視点が一切登場せず、タイムリミットが迫っているのかそうでないのか判然としないからであろう。が、話の眼目は追う側の警察、待つ側の家族の実情を描いていくことなので、意図的にサスペンス成分を排しているとも言える。
 いやまあ、リアリズムに則るならば、日にちが経てば経つほど人質の生存の可能性は低くなるし、そもそも占いなんて信じるわけねえだろバカヤロー!と、ついつい他人事としてそう考えてしまうのだけれど、そこを絶対にそう考えない二人を通して物事を見て行く。言うなればリアリストに対するイデアリストか……。ただ、これは実話なので、結末もまた予定調和的にはいかないのである。


 アンチ・サスペンスとでも言えそうな奇妙な味わいが面白い映画。ユンソクさんファンなら必見ですね。日本公開されるかどうかはわからないが、しかし映画祭の日のユンソク人気はすごかったな。三列目までプラカードとか持ってるファンで埋め尽くされたもんな……。

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