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”大地と月の間”『ミッドナイト・アフター』

映画


 フルーツ・チャン監督映画!


 17人の乗客を乗せて大埔まで向かう深夜バス。なんでもない道程のはずが、突如、トンネルを抜けたところで周囲の人や車すべてが消えてしまう。人影の消えた町で彷徨う17人。そして、謎のガスマスクの人影が出没し……。


 「未体験ゾーンの映画」たちか「シッチェス映画祭」か、というぐらい地雷も抱えてる企画上映ですが、せっかく香港映画が劇場公開なのだから、ということで行ってきました。香港、代理勤務で普段は乗らない路線バスの運転をするラム・シュー、そこにたまたま乗り込んだ乗客たちを描いた群像劇。


 バスに乗り込んで「そこ」にたどり着くまでが、細かい時間軸やシチュエーションのずれを描いたタイトな構成で、そのタイトさから次々と登場人物が脱落していく展開には、ひりついた緊張感がある。後半は、その緊迫感は前半の貯金頼みになり、伏線を一部は回収し、一部は不条理なまま投げ出す展開になり、緊密さがどんどん不可思議さに塗り潰されていく異様な感覚を味わえる。


 終末ものの映画では、なぜ世界が終末を迎えたかが明らかにならないことは珍しくもないのだが、今作ではその過程の部分もタイムスリップ的にすっ飛ばしているので、より投げっ放し感が増している。ゾンビの出てこないゾンビ映画とでも言うか、ジャンル映画にはなり切っていないので、そのあたり「まあええやん」ともなりにくいか……。ただ、そのごた混ぜ感覚がいかにも香港映画らしくて、ある意味見慣れた感覚でもありますよ。
 終盤はスラップスティックっぽく鮮血が飛び散り、派手なバスチェイスもあり。


 そんな不条理感の増す中、リーダーシップを発揮するサイモン・ヤムの貫禄と、コメディ・リリーフにとどまらない熱演を見せたラム・シューが光りましたね。まあ香港映画ファン以外にはまったくオススメしませんが……。

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