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”約束の果てに”『黒衣の刺客』


 スー・チー主演作!


 九世紀、唐。十三年前に誘拐され、暗殺者として育てられた隠娘が、両親の元へと戻る。密かに与えられた命令は、権力者・田委安の抹殺……。


 カンヌで監督賞を受賞したホウ・シャオシェン監督の初時代劇。フィルモグラフィーを振り返ると……ことごとくスルーしてきた映画ばかりだああああ! 今回はチャンバラだし、珍しく中華映画がシネコンでかかってるんだから観に行きましたよ。と言いつつ、『ブレイド・マスター』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20150913/1442147741)の時にも書いたが、陰謀チャンバラには少々食傷気味なんだけど……。


 定番のジャンル、カンヌ、ブッキーという日本人キャストなど、本邦向けの引きが多いことが公開の理由であろう。さらにポスター始めビジュアルの美しさには、本編が始まってからも目を奪われる。隅々まで隙のない美術を、固定されたカメラによってじっくりと映し出した画面を、こちらもゆっくりと鑑賞する。時々まとめて説明台詞が飛び出すが、基本的に説明はなくストーリーは淡々と展開していく。その中で鳴り響くスローなテンポの太鼓……ああ……気持ちいい……zzzzz……。


 いやあ、素晴らしく美しい映画なんだけど、あの太鼓がね……あれは催眠効果抜群ですよ! お話には何とかついていけたのだが……。


 しかし時折入る殺陣は全て素晴らしく、そこは目が覚めるね。スー・チーが振り返りざま、投げられた剣を叩き落とすシーンはほんとに当ててるように見える。まあそもそも「黒衣」と言うとそれはつまり「最強」ということなのだな。「黒衣の騎士」「黒衣の将軍」etc……。今現在、最強の女ドラゴンは、チャン・ツィイーではなくやはりスー・チーなのか……?と真剣に考え込んでしまう。今回はチャン・チェンが殺陣はやるけど別に強くない役なので、ほぼ見せ場は一人で持っていく。最後は師である殺し屋の元締めとの一瞬の対峙……。


 しゃべらないところはまったくしゃべらないので、妻夫木君がいきなり棒を持って殴りかかるあたり、何かシュールな味わいも漂う。この辺りはちょっと香港映画のようだ。
 まあもう一回ぐらい観ればより楽しめるかもしれないな。寝てしまったので、最後に言ってた約束というのもいつしたのかわからなかったし……。

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