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”雪山で起きたこと”『コンフェッション』


 韓国映画


 中学時代、雪で遭難しかけた三人、ヒョンテ、インチョル、ミンス。十数年が経っても仲の良い三人だが、ある日、保険のセールスマンであるインチョルが、ヒョンテの母親を訪ね、経営が苦しい賭博店が、火災によってどれだけ保険金が下りるか話し合う。数日後、賭博店に覆面の二人組が押入るのだが……。


 中学時代から続く三人の男の友情。雪山で遭難し、一人は失神、一人は負傷、残った一人が助けを求めて単身山を降りる。取り残された一人は救助に見切りをつけ、気絶した仲間を背負って降りようとするのだが、ついに力尽きようとした時、ようやく救助が……。


 それから二十年、成長した三人は友情をそのままに家族ぐるみの付き合いを続けている。
 が、単身雪山を降りて救助を呼んできた、最も頼れるはずの男チュ・ジフンが、なぜか詐欺師紛いの保険屋になってしまっているんだな。あちこちで契約を取ってきては詐病を演じさせて自分の保険会社から金を取り、ついには本社から睨まれている……。三人の中では「頼れる男」みたいに言われているのだが、それは過去の栄光というもので、仲間内で「命の恩人だ!」と褒められていると自分ができる男のような気がしてしまう、典型的な勘違いパターンに陥ってしまっている。


 そんな彼が発案した「完全犯罪」とは……? まあ平たく言うとまた保険金詐欺で、自分がマンション暮らしの家賃が払えなくなってるのが動機なんだけど、かつて失神して助けられた男イ・ヒョンテまで巻き込んでしまう。分け前をやるから楽な暮らしをしろ、というのはいいんだが、小便に連れ立っていくような、一人じゃでかいことはできない小心さも感じたところ。
 そして保険金詐欺の契約者となるのが、最後の一人チソンの母親、地下カジノ経営者。狂言強盗で保険金をせしめようというネタをチュ・ジフンに持ちかける背景には、夫が倒れ介護が必要になっているが、聾唖者と結婚した息子とその差別意識ゆえに疎遠、という洒落にならない事情が……。
 消防士やってるチソンさんだけがまともな人で、そのまともさゆえに地下カジノみたいなあくどい商売やってるうちは両親と関わりたくない、と毛嫌いしている。
 その親子関係の断絶をなんとか取り持とうという意識もチュ・ジフンにはあるのだな。実際のところ面倒見のいい人間で、それは美点なのだけれど、あれもこれもと欲と結びつけて悪い方向へ走ってしまった状態にある。


 完全だった計画はあっさりと崩壊し、雪だるま式に最悪の状況へ。ここからはずっと犯人視点なわけだが、それにしても片っ端からボロが出ている感じで、いささか熱演が過ぎるのではないか。露骨にキョドりすぎあせりすぎテンパりすぎ。ここらへん、韓国映画の過剰さがちょいとマイナスに出た感あり。ただまあ、あまり冷静にさばいてしまうと本当にただの人非人になってしまうからな。ダメな人間だけど友情と最低限の良心はあり、保身との狭間で揺れ動く。
 また、チソンさんの方も、鈍くて全く気づかない……という面もあるのだけれど、それよりもどこか気づきつつもわざと見過ごしにしているのではないか。もう少し動けば核心に切り込めるところをなぜか逡巡しているかのような感覚が出てくる。それはラストで明かされる彼自身の「負い目」にもつながる部分なのだね。どうでもいいが、チソンさんはちょっとコリン・チョウの若い頃に似ている……。


 元のプロットがちょっと強引かつ不自然なせいで歪みが出ている感じだが、友情描写などは一風変わった味付けで描かれていてまずまず面白かった映画でした。