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”あの大空へ、凧を飛ばして”『コングレス 未来学会議』

映画


 スタニスワフ・レム、映画化!


 俳優の姿や演技をデジタルスキャンし、思い通りに動かすことができる技術が確立された近未来。女優ロビン・ライトもヒット作を生み出せなくなり、契約の解除を迫られていたが、大金と引き換えに自分のデータを買い上げるという申し出がされる。二度と演技ができなくなるという代償を払って、彼女は病の息子のためにその契約に応じるが……。


 いい加減にいい歳になってきた女優ロビン・ライト、まだまだ『美しい家の崩壊』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140624/1403612274)とか『誰よりも狙われた男』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20141025/1414243076)にも出て活躍中です。まあ確かにスターという感じはしませんが……。そんな彼女が大手に契約を解除され、自分のデータだけを買い上げてもらう、という「自分が主人公」なお話。大手映画会社ミラマウント(ミラマックスとパラマウントをかけたギャグ)は、CG全盛のハリウッド業界への皮肉をこめて、そのうち役者も全部CGになるだろう、とぶち上げる。葛藤の末に、数々の特記事項を盛り込んで20年契約を締結。女優を引退する。
 20年後、契約の終了が迫った時、彼女のデータはB級アクションに出演中。新たな契約に関する説明を受けるために、ミラマウントの会議に出ることになるのだが……。


 街の境を通る時、薬を飲まされて「アニメ」の世界に入ることに。ここからはずーっとマックス・フライシャーっぽいアニメ絵になる。映画の内容とは関係ないのだが、この手の絵柄やうねうねした動きが嫌いなので、つらかった。ディズニー・アニメや宮崎駿も嫌いで見ないようにしているのに、不意打ちで突入したからまるで拷問。『レゴムービー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140415/1397570552)でも、キャラのオーバーアクトにうんざりしたのに、これときたら輪をかけておててをくねくね、目をパチパチ……。絵柄も不気味で気持ち悪いし……。


 会議では今後、映画というものはなくなり、個人それぞれが薬物を飲んでトリップし、自分を主人公として映画のような体験をする、と発表される。その表現がこのアニメ絵であり、その薬物を飲まされたロビン・ライトもまた、現実とも何ともつかない世界を彷徨うことに。
 やがて世界中で人々がこの薬物を摂取して「あちら側」の現実から「こちら側」のアニメの世界にやってくることに。いやあ、大嫌いなこの絵柄の世界にくるとか、地獄でしかないので、このアニメ絵を全世界の大多数がユートピア的に捉えてる、という設定自体にまったくついていけなかった。
 映画の後半、ロビン・ライトは一度、現実の世界に戻る。周囲には薬を飲んで虚空を見つめるばかりの人々が……。ここで心底ほっとしたなあ。やっと地獄から戻ってこれた……が、息子がいるからとか何とか言って、また舞い戻ってしまうロビン・ライト。やめろお!


 途中、「キアヌ・リーブスももうCG」というギャグがあって、これは原作の延長上にある作品『マトリックス』にかけているのかな。そこに則るなら、このアニメ絵の夢を見ている奴らに「本当の世界」を見せてやりたいよ。俺は現実の世界で生き続ける。


 いや、まあまあ良く出来たいい映画なんだろうが、これは完全スルーすべき案件だった。もう二度とこの手の絵のアニメは観たくない。