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”犯人はバドだ!”『ハイネケン 誘拐の代償』


 実際の事件の映画化。


 1983年のアムステルダム……。大企業ハイネケンの会長、フレディ・ハイネケンが何者かに誘拐される。鮮やかな犯行から、プロの巨大組織によるものと思われたその誘拐劇を企んだのは、5人の素人の若者だった……。


 ご存知ビール会社のハイネケン、その創業者のハイネケン社長が誘拐された実在の事件を、誘拐した側の男たちの視点から描く。主演はジム・スタージェスサム・ワーシントン他。
 ジム・スタージェスって、基本は感じ良いんだけど裏で何かしら企んでる、という役が多いのな。自分たちで経営してた会社が倒産し、一発逆転のために誘拐を企む……。監禁部屋をこっそり作り、大企業の社長を誘拐! しかし、自分たちは知能犯のつもりで、無血の誘拐を計画していたものの、なかなか身代金が払われないため、5人のチームのうち、メンタル弱い方から段々といらついてくる……。


 宣伝では、人質と犯人の心理戦のような煽りをしているが、そんな展開は全然ありません。捜査側も全く描かれないので、そのあたりに注目するしかないのだが、やっぱり人質が口八丁で翻弄するってのはフィクションでしかありえないのね。ハイネケン社長はやり手だから超メンタルが強く、下っ端だから脅しのために殺されるかも、と戦々恐々となっている運転手をめちゃ励ます。


 なんでも予定どおりには進まないもので、その場の誘拐自体と金の受け渡しこそきっちり計画していたものの、間が長引くことは想定しておらず、さらになぜか警察らしき男が周辺をウロウロと……。
 嫌な緊張感が高まり、こりゃもうダメだ解放しよう、いやバレるからもう殺そう、ダメダメまだ粘るんだ、と意見が食い違い、人質にも八つ当たり。ついに業を煮やしたハイネケン自身が、新聞広告で催促することを提案する。ようやく受け渡しの機会がやってくるのだが……。


 正直、誘拐自体はすんなり進行しすぎ、途中のじりじり待ってるシーンが長いので地味さは否めず。さらに、結局のところ警察に目星をつけられていて、計画は破綻を迎えるのだが、それがなぜなのかは一切語られないので、カタルシスにも欠ける。犯罪ものの肝の部分がすっぽりと抜け落ちている感じで、いくら実話だからと言っても、さすがにこれは盛り上がらんわなあ。


 それよりも、モノローグで語られる後日談の方が面白そうだったし、以前にルトガー・ハウアーハイネケン役で映画化された方が派手そうだしな……。

誘拐 狙われたハイネケン [DVD]

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