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”お鼻が長いのね”『エレファント・ソング』


 グザヴィエ・ドラン主演作。


 14歳から精神病院に入院しているマイケル・アリーン。象に関して謎の執着を示す彼の担当医であるローレンスが、突如失踪する。不祥事が続く病院の院長であるグリーンは、手がかりを握るマイケルの事情聴取を試みる。看護師長は、彼は茶化すばかりで真実を話さないと忠告するのだが……。


 今作は監督ではなく、出演のみです、ドランさん。精神病院の患者役で、突如病院から失踪した医者の行方を知る鍵となる人物。ブルース・グリーンウッド院長が病室から呼び出して問い詰めるのだが、鋭い知性を見せてのらりくらりとはぐらかし続ける。事件(いや、そもそも事件なのか?)の真相とは? そして彼の真意は?


 舞台劇の映画化だそうで、登場人物も数人に限定され、ロケーションも限られている。精神病院の数部屋と電話のみで構成され、場面切り替えはあるけれど、舞台では当然なくて付け加えられたものなのだろうな。
 いちいち家から電話かけてくるキャリー・アン・モスを、ちょっとうるさいと思いつつ相手するグリーンウッド院長。彼女は再婚相手で、今もいる病院の婦長キャサリン・キーナーが前妻というちょっとややこしい状況。家にいる娘はその前妻との娘。


 映画の冒頭はドラン演じるマイケル・アリーンという患者の過去、オペラ歌手であった彼の母の存在を示すシーンから始まる。トラウマ含みっぽいこのあたり、ドランの「母もの」の監督作品とも雰囲気が似てて、今作の主演を熱望したというのはそういうことなのね。


 まあ映画はドランさんの独壇場で、象のぬいぐるみを抱えて院長を翻弄しまくる! 象さんの鼻を使ったフェラシーンに爆笑。そうして消えた担当医との関係を匂わせつつ、焦らしに焦らしてついには決定的証拠を……! なんてこった!


 そうして彼の言動に右往左往させられる院長の「気づき」の物語でもある。ここにも家族関係があり……。ただまあ、やっと全てに気づいた時には時すでに遅し。ドランさんの秘めた過去、そして計画とは……?
 オチがオチなのでまあ小品だなとは思うが、見ごたえのある会話劇で面白かったですよ。そのオチも『Mommy』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20150519/1432039100)の変奏曲とも取れるしな。

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