"キーーーーーーーーン"『シグナル』


 SF映画!


 マサチューセッツの学生ニックとジョナス、ニックの恋人ヘイリーは、大学のコンピュータに侵入したNOMADというハッカーを追っていた。だが、GPS信号を解読したどり着いた廃屋で、三人は何者かに襲われ拉致される。謎の施設で目覚めたニックは、自分の不自由だった脚が機械のそれに変わっていることに気づく……。


 全然情報を仕入れずに観に行ったのだが、冒頭からアブダクションものとわかる。青春もの要素を加味して、男二人と女一人を主役に設定。宇宙人にさらわれた三人が、謎の研究施設で目覚め、顔のでかいローレンス・フィッシュバーンに監視されることに……。


 まあ低予算映画なのは明白だが、意外に舞台は変遷していくので、退屈はしない。ロードムービー風に始まる序盤から研究施設へ、さらにそこを脱出後はまた荒野を移動していく。見終わってから振り返ると、それぞれの場所の印象を大事に見せていたのだなあ、とわかる。
 その一方で、人物同士の会話シーンなどの演出は、大げさかつ情緒的で思わせぶり。ものすごいスローを多用するのな。
 全体的にやっぱりこなれてなくて、若手の監督が撮った代物だな、という印象ではあったのだが、さてではつまらないのか、というとそうでもない。スローで延々撮った見せ場は、本当に力み返っていて「俺はここが撮りたかったんだ〜!」という熱意だけはやたらと溢れ出てくる。主人公の両脚が改造されているのが発覚するカットで、ああ、やりたかったのはこれか……! そして、どうだと言わんばかりの大オチ……。


 観てると『アバター』やら『ダークシティ』やら『パンドラム』やら『Dr.スランプ』やら、いろんなものを思い出したな。あとはやっぱり『ARMS』か……。ヒロインの子の能力がわからなかったが、やっぱり超視覚か超聴覚だろうか……。


 中編ぐらいの一発ネタを引き延ばした感があって、イマイチなんだがなかなか嫌いにはなれない映画でありました。あまり情報を仕入れずに観るのがいいですね。

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