”つなげてみたい”『点対点』 - 私設刑務所CHATEAU D'IF

　
　大阪アジアン映画祭2015、五本目。

　大陸から香港へと赴任してきた教師のシャオチュ。慣れない環境に戸惑う中、街に出ることを勧められ、辿り着いた地下鉄の駅で、不思議な模様を発見する。その点つなぎゲームに導かれるように彼女は香港を歩き回るのだが……。

　香港のあちこちに刻まれた点の模様。それをつなげれば絵が生まれる。市販されているようなゲームではつなげていく番号が振られているのだが、この映画では本当に点だけ。さあ、どんな絵が完成するのか？完成する模様は現地の駅や観光地に縁のあるものになっている、という共通点があるので、それを読み解ければ完成は可能である……という設定になっているが……いや……無理だろ……組み合わせ無限だし……。まあ一つ二つは解けるかもしれないが、微妙に違ったり、全然違う解釈で違う絵になったりすることの方が多そうだが……。
　ヒント少なすぎで絶対解けないと思うのだが、そこを解けるのが出題者と回答者の相性の良さなんだ！という話にしたいのはわかる……狙いはわかるが、なんだか宇宙人同士の交信のように思えてきて、まあ勝手にやってなさいよ……という気がしてくるのは否めないのである。

　冒頭でその点模様がニュース映像として流れ、社会問題っぽく広がりを見せるのかと思いきや、小さく個人的な関係に収まってしまうのでなおさら。もう少しテクニカルに解ける要素があれば、なんらかの共感のしようもあったのかもしれないが……。
　別にそんなにピタリと正解にならず、時に全然違う回答を出してしまったりしながら少しずつ正しい答えに迫っていく……という展開でもよかったんじゃないかな。

　ヒロインは大陸からきた女性で、この模様を追って各地を回る内に香港への理解を深めていく、という香港愛映画でもある。街並み、名所の美しさが楽しめ、より香港へと行きたくなる観光映画と思えば悪くはない。

　しかし主演の人はイケメンということになっていたが、個人的には小綺麗なリュ・スンボムにしか見えなかったでござるよ。