”熱き氷の戦士”『アイスマン』

アイスマン 超空の戦士 ブルーレイ＆DVD セット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]

　ドニーイヤー、2本目！

　現代香港……。事故により横転したトラックの中から現れた一人の男。それは、４００年前、明朝において裏切りの汚名を着せられ、雪崩によって氷漬けになった錦衣衛ホーだった。街を彷徨う中、偶然出会ったメイという女に救われ、彼女の家に居候として転がり込むことに。一方、彼と共に現代に甦った二人の弟分もまた、裏切り者としてホーを倒すべく迫る……。

　先日『スペシャルID』（http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20150307/1425704810）を見てきたところですが、またもドニー映画がやってきました。今回は錦衣衛役ということで、『処刑剣』（http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110530/1306672092）に近い役所ですね。しかし今回の舞台は現代、ドニーさんはタイムスリップしてきた昔の人。当然のように現代人にはない超人的な武術を操り、カルチャーギャップギャグを飛ばしまくる。

　いや、冒頭3分で、ろくな説明もなしに冷凍状態から覚醒し、戸惑っていたのもつかの間、どんどん現代になじんでいくこのマイペースさ。その超人ぶりも合わせて、定番のドニーキャラだ！　豪快で、どっか融通が効かなくて、でもどこまでも気高く優しく熱い男……そう、それがドニーさんなんですねえ、と、勝手にファンの思っている人物像そのままのキャラクターなのである。まあ正直、話とか基本緩くてどうってことないんですが、そんないつものドニーさんを観て、時折超絶アクションも観られる。それでいったい何が不満なんだ！　雑な話とスターパワー、定番のワイヤーアクションと派手なCG。明るく楽しい香港映画であります。意味ありげに出てくるサイモン・ヤムにもなんとなく意味があったし、ドニーさんに追いかけ回されすごい技で痛めつけられるラム・シューを観ているだけで笑顔になるよ。
　映画はユン・ピョウの『タイム・ソルジャーズ』（未見）のリメイクだが、難しい顔してタブレットを操るドニーさんの姿は、まさに現代で、きっちり２０１０年代にアップデートされておりますよ。

　……が、ドニーさんが監督もしくはアクション指導した近作群に比べると、やっぱりかつてなく大味である感は否めない。「普通に楽しい香港映画」を質的に凌ぐ作家性を獲得してきたのが、ドニー・イェンという存在だったわけで……まあたまにはいいんだが……。

　それにしても、前後編だったとは知らなかったぜ！ 本当に唐突に終わるからビックリした。さらにエンドロールは主題歌が終わった後は無音！ まるで『アメリカン・スナイパー』だ！ この無音によって、お話が途中で終わる虚しさを観客の心に突きつけ、問いかけてくるのだ……（念のため付け加えますと、香港映画でエンディング曲とクレジットの尺が合ってないのはよくあることであります）

　さあ次は『モンキー・キング』！　そして今作の後編も早く公開されることを祈っておりますよ……。

処刑剣 14BLADES　ブルーレイ [Blu-ray]

エンプレス ~運命の戦い~ [DVD]