”有終の美を飾れましたか?”『REC4 ワールドエンド』


 ついにシリーズ完結!


 あのウイルス発生現場から救助された生存者であるアンヘラは、意識を取り戻した時、検疫施設となった貨物船にいた。医師たちは軍によるセキュリティの下、アンヘラら生存者たちを調べ、秘密裏に実験を行っていた。彼女を救った軍人リカルテは医師らに不審を抱き、アンヘラと共に船内を調べ始める。だが、再び感染が……。


 POVを放り捨てた前作『3』は外伝的位置付けだったが、今作は『2』以後の正統続編にして完結編と謳われている。邦題はセカオワですが、原題もアポカリプスだからな。


 さて、舞台はとうとう街中を離れ、洋上の船に……。『2』ラストで「本体」に取り憑かれたことが明らかになったレポーターのアンヘラが、生存者の一人として運び込まれている。他の生存者も集められ、ゾンビ拡大を食い止める解毒剤が研究されている。
 ……さて、世界と隔離された状況なんだから、さぞかしスペインは危機的状況になっているのかと思いきや、「感染は食い止めている」とのこと……えっ、ワールドはエンドしてないの? これからどんどん危機的になっていくのかな、と思いきや、船上こそまあまあ大変なことになるものの、街中がどうなったのかは全然語られない。何がアポカリプスだ!


 閉鎖空間、取り憑かれたヒロイン、スケールダウン……ってところは『エイリアン3』に似てるな……。悪魔憑き云々のオカルト要素は今回はどうでもよくなったらしく、ウイルス感染とワクチン生成に話が絞られる。ワクチンを作るには「本体」が必要だ! まあ人間目線で言うとそれなりにまだ大変な話である、と言えなくもないが、観客はもう「本体」がこの船で隔離されているのを知っているので、その時点でだいたいもう詰んでいるように思えてしまう。あとは下手なことをせずにこの船に閉じ込めておけばいいのになあ……。
 その「本体」は、さらなる感染や脱出を画策……しているはずなんだけど、どうも喋り出すと何をやりたいのかわからない……。もっと上手く立ち回ることが出来たと思うんだが……。どんどん存在感が見た目どおりになってくる。だいたいあのビジュアルが、そもそももうちょっとなんとかならなかったのであろうか。


 今回も超速いゾンビだが、完全にPOVじゃなくなったせいで、単に手ブレでごまかしているように見えるのもマイナス。猿やらラム肉やら、まあまあ面白かったところもあったのだが、全体のスケール感のしょぼさを覆すまでには至らなかった……。


 キャストでは、ヒロインであるアンヘラさんが再登場。『REC2』の翌〜数日後ぐらいという設定だが、まるで5年ぐらい年を取ったかのようだ。相当精神的ショックが激しかったのだろうな……(笑)。彼女が乗っ取られている、ということを前提にして物語が進むところは、多少ひねってあったポイントでもあって好印象。


 しかし、結局もうシリーズファンしかついて来ていないんだから、むしろまた「続く」的なオチにしちゃった方がまだ良かったかもしれない……と思えてしまうようなしょぼすぎる結末を迎えてしまうあたりで、もう完全にアウト。さらば、『REC』シリーズ……。

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