『新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ (10) 邂逅の協奏曲 (上) 』隅沢克之

 今回は過去パートなし。もうひと段落ついたかな? 復活したヴァン・クシュリナーダの駆る黒いウイング0と、Gチーム(この呼び方懐かしいなw)が激突。
 ウイング0は相変わらず最古にして最強という位置付けで、他のガンダムも設計が同時期で新型というわけでもないあたり、大きな戦力差はない。が、大火力高機動の0の優位性は変わらず、というところ。


 ワーロックの変形には、ちょいとポカーンとなってしまった。そもそもモビルアーマーがほぼ登場せず、その優位性もないのが『W』という作品だと思っていただけに、結構大転換に感じる。
 この若干のついていけなさ、何を思い出したかと言うと、最近、メカデザインが丸ごと変わった『ファイブスター物語』であった。一種の美術品を目指しているような作品が、一クリエーターの脳内における洗練を追求するがあまり、自作の過去そのものとさえ次第に乖離していく……という現象として興味深い。まあ『フローズン・ティアドロップ』は大幅に中断したりしないだろうけどね!


 ところで、無人のコクピットで操縦桿だけが動いている、という描写は、テレビ版で有人機ベースのトーラスのMDでもすでにやっていたので、あまり恐ろしげに書くのはちょいとずれて感じられたな。


 『敗者たちの栄光』も8回目。ヒルデのエピソードがスルーされてたのに今頃気づいたが、ここに持ってきたのね。トラントの配下の技術士官という設定になっていて、これは『FT』の科学者設定につながる改変。そしてプロトゼロ自爆で、ウイングバインダーを移植という流れか……。変形はオミットね。この設定にすると、なんとなく弱体化したように思えるのだが、そこをカバーする理屈はひねり出してくるかな。もちろん、パワーアップしたら「ハワードすげえ!」ということになっちゃうわけだが。そしてトールギスはいかにしてお払い箱になるのか。