"君を見捨てない"『エクスペンダブルズ3』


 シリーズ三作目!


 CIAから密かにバーニーとエクスペンダブルズに下された指令。それは、世界を股にかける武器商人を捕らえることだった。だが、情報にあった場所でバーニーが目にしたのは、かつて彼が殺したはずの男、元仲間であり共にエクスペンダブルズを作った男、ストーンバンクスだった。激昂するバーニーをあざ笑うように、ストーンバンクスは彼の仲間を凶弾で打ち倒す……!


 夢のオールスターアクションも、とうとう三作目に突入。正直、これでもうビッグネームは出尽くした感あり、というメンバーになりましたね。ブルース・ウィリスチャック・ノリスが外れ、代わってアントニオ・バンデラスウェズリー・スナイプスハリソン・フォードが参戦。悪役はヴァン・ダムからメル・ギブソンへ。
 その他、若手アクションスターや、UFC女子バンタム級王者ロンダ・ラウジーも加えてチームを一新。


 情の移りすぎた古株メンバーを全員外して、若手の新メンバーとチームを組んで、情に流されないように仕事しよう、としたスタさんですが、結局捕まった若手たちを切り捨てられずに助けに戻ろうとする、という、何とも自己矛盾に満ちたキャラクターを演じるスタさん。人情ですねえ。そして、お払い箱にされたはずのステイサムたちも再び駆けつける……! 義理の世界だ……!


 スタさん脚本ということで、例によって全員に台詞や見せ場を用意してる会話劇じゃないの、というとこまで持って行ってるせいで、途中はアクション物としては結構かったるい。いや、この新しい監督、アクションシーンでは異様に手際がいいのだよな。
 オープニングの列車襲撃シーンの無駄のなさと、勢いで突っ走るテンポの良さが素晴らしい。カット割りもチャカチャカしてると感じるギリギリのとこでまとめてますね。またウェズリー・スナイプスが余計なことを喋らず、自分を拘束した刑務所に向けて復讐の猛爆を浴びせる……って、脱税なんだから逆恨みでしょ!
 このシーンが冒頭なので、こりゃあすげえ、今回めちゃめちゃ面白いんじゃないの、と思ったら、その後、アクションシーン以外はスタさんらしい会話&説教の連発で大失速。おなじみメンバーも一時的にクビになっちゃうので、出番がガクッと減っているし、いつもの定番パターンから美味しい要素だけが減衰しているような感覚に。活躍シーンを減らすことによってブロマンス要素を逆説的に高める……というのは、まあ方法論としては普通にありなのだろうが、オールスターお祭り映画としては、マイナスも大きいのでは、と思う。
 しかし、クライマックスは大物量戦をまたもテンポよく仕上げているので、まあ最初と最後の満足感は高くてOK。後から後から敵が湧いて出てくるのだが、たった十人のエクスペンダブルズを倒せない。メルギブがはっきり「相手は十人だぞ!?」と言ってて、ここのところ、『仮面の男』の「二十対四で歯が立たんのか!」という台詞を思い出しましたね。
 反面、一作目ではドルフさんとストンコ、前作ではアドキンスがいい仕事してたのになあ。メル・ギブソン以外に名のある強敵がいないのが、ちょっと物足りない。さすがに最後の見せ場をスタさんだけで支えるのは無理があった……。


 同窓会の浮かれモードも随分落ち着いて、会の存続について真面目に考える必要も出てきた。「前回来れなかったあいつにも声かけるか」「そろそろ、若い子にも来て欲しいね」などと相談しあい、今回はこういう面子が集まりました。次回はどうなるかなあ……。
 テンションとしては、一作目ほどマジに作ってないけど、二作目の度を越したパロディ感覚は抑えられ、ちょうど中間のバランスに落ち着いた印象。これが良くも悪くも、シリーズのスタンダードになるのであろうか。とりあえず、今作は興行的にはイマイチだったようで、次は作られるとしても、何かテコ入れをしてくるのか、気になりますね。

エクスペンダブルズ (字幕版)

エクスペンダブルズ (字幕版)

エクスペンダブルズ2 (字幕版)

エクスペンダブルズ2 (字幕版)