”銀河の彼方へ”『サンシャイン・ラブ』


 大阪アジアン映画祭2014、九本目!


 公務員試験を三年続けて落ちたギルホ。限界を感じつつあった彼の憂さ晴らしは、公務員が主人公の武侠小説をネットにアップすることだった。ある日、試験仲間がネットで知り合った女を妊娠させてしまい、共に示談に赴いたギルホは、女側の付き添いとしてきていた学生時代の同級生ジョンソクに再会。昔は避けていた彼女がすっかり大人びて定職にもついているのを目の当たりにし……。


 前日の『ローラーコースター』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140406/1396768072)に続き、韓国映画。公務員試験浪人の主人公が、浪人仲間が女を妊娠させたことがきっかけで、大学時代の同級生であるヒロインと再会する。
 このヒロイン、どっかで見たことあるなと思っていたが、『殺人の告白』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130709/1373370569)のボウガン女ではないかっ! チョ・ウンジさんね。『ホテルビーナス』なんかにも出ている……。今回は遠距離射撃はせず、せいぜい物を投げるくらいか。しかしこの人のツンデレ感覚と言うか、ダメ男に厳しそうなのにやらせてしまい、なんだかんだと文句言いながら最後まで面倒見てしまいそうな、この優しさというか脇の甘い雰囲気はいったいどこから出て来るのか……?


 韓国映画独特の強烈な生活感をギリギリまで脱臭しつつ、なおかつイケメンと美女の乱舞するメルヘンになっていないあたりのさじ加減が上手くて、ブサメンの読みたい恋愛漫画のようになっている。作中で主人公が『稲中卓球部』を読んでいたり、監督が上映後のティーチインで『ヒミズ』が好きだと語っていたりしたが、そう考えるとダメな男の恋愛ということで『シガテラ』あたりのイメージに近いのか……。
 もちろん映画だから、あの漫画みたくにちゃにちゃとモノローグで語るわけではないのだが、割合さらっと流しているあたりに、ちょっと投影して見ても面白いかもしれない。仕事につけない悩み、彼女と自分の間にあるギャップ……。


 そんな心理を読みつつ、シンプルな恋愛ものとして楽しめる一本。主人公が結構簡単に作家になれてしまったりするあたり、甘っちょろいのも確かだが、まあいいか。作中に登場する『999』ネタには爆笑。ハーロックも出てくれば満点だったのに! 今映画祭では、大なり小なり日本にまつわるネタの入った映画が多く、ちょっとでも日本公開の可能性を見出せそうなものをチョイスしているのかな、とも思ったのでした。

ホテル ビーナス [DVD]

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