”18年目の真夜中”『ビフォア・ミッドナイト』
『ビフォア』三部作、完結編!
あの列車での出会いから18年……。9年前、再会したジェシーとセリーヌは、今や家庭を築き、双子の娘をもうけていた。ギリシャでバカンスを過ごす一家。シカゴからやってきた息子のハンクを送り返す際に、ジェシーは彼の演奏会に行くと告げるが、母親が気を揉むから来ないでくれと言われてしまう。息子と共に暮らすことを考えだしたジェシーだが……。
先日、新婚旅行でクルーズディナーして夕陽を眺め、「これが僕たちの『ビフォア・サンセット』だね」とか言って悦に入ってたのですが、映画は早くもミッドナイトであります。最近まで前二作は見てなかったのですが、年末にBSでやってたのを録画でチェック。9年ごとに作ってるシリーズを駆け足で走破し、慌ただしく完結編に雪崩れ込みました。
結局、あの二人はあのラストからどうなったんだ?というところで引っ張るという、シリーズお約束の結末から9年後……二人は……双子をこさえていたあ!! その前の、イーサン・ホークが息子と別居しているあたりで何となく想像はつくんだが、衝撃的なカットとして計算づくで見せてくるのでドキッとしますね。
初対面、二回目の出会いに対し、今作は9年分の関係の蓄積を描くんだから、より難しかったのではないか。にも関わらず、二人の間には親密で、弛緩した空気が漂っている。会話の中で、あの後、二人はどうなったのかをさりげなく紛れ込ませ、現状も同時に説明する。9年も経てば、もはやあのロマンチックな出会いもネタ扱いだし、不満も溜まって軋轢も増える。
「あんたの現実見てない作家気取りにはうんざり!」
「おまえのヒステリーはもう勘弁だ!」
お互いの分かち難い個性が段々と疎ましくなってくる。でも、これらは何か都合のいいイベントが起きて解決される類のことではないんだな。全ては積み重ねの上の結果であり、これからもまだ積み上がって行くものだ。日常の中の突発的な喧嘩の中で、すでに答えはあり、後は選ぶだけ。理想とは違うが、でもこれこそが最も良きものだ。積み上げて行く努力を続けるか、崩してしまうかは自分次第。
映画によってはもうちょい絞ってるはずだが、ジュリー・デルピーさん、今作は見事に中年体型を作っている! なんだその腹は! そして、リアルなおっぱいをさらす! いやあ……これですよ、このリアルさ。
そして、歳食って猿化し、より貧相になったイーサン・ホーク……! こないだ見た『Purge』でも、かなりダメな感じのお父さんだったが、今作でも実に普通の人であるよね。
一応、これで終わりなのかな? でも作ろうと思ったら、また9年後に作れないこともないかな。いっそのこと、もう三回ぐらい作ってもいいかもね。作中での「八十代からのメッセージ」は、やや冗談含みながら続編を匂わせているとも取れる。駆け込みで三本見たけど、次からはリアルタイムで観たいですね。できれば、次も妻といっしょにね(笑)。
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