”リンゴはウンコから生まれた”『スティーブ・ジョブズ』


 Apple創始者の人生を追う!


 1976年、アップル・コンピュータ設立……そこはジョブズ家のガレージだった。斬新な発想と群を抜いた行動力で人々を惹き付け、成功を収めるジョブズ。四年の時を経て、はみ出し者の集まりだった会社も大きくなった。だが、ジョブズはそのエキセントリックで人を傷つけるばかりの行動から、次第に孤立していく……。


 まあすでに色々なところで語られている話でもあるのだが、ジョブズって改めてこうしてお話で観ると、すっげえ人間性がウンコな人だったのだね。こういう人は刺されて死んでもおかしくなかったと思うのだが、運良くというかなんというか、周りは気弱なオタクばかりで、彼のビジョンと口車に乗って働いてしまう人ばかり。孕まされて捨てられる女にせよ、もっと怒ってもいいと思うのだが、ここで刺してれば、コンピュータの未来は永遠に変わっていたのだろうなあ……。


 まあ実際に何をしたかはwikiでも見てもらえばいいが、アシュトン・カッチャーはそのウンコ野郎を熱演していて、ニヤニヤっぷりが最高。ライバルや対立した相手を凹ませた時の得意げな感じ、はてまた敗れ去った時の激怒ぶりや半泣きフェイスも、オーバーな感情表現で伝説になった人物を上手く表現している。プレゼンの場面ではなかなかのパフォーマーであった彼の、演技ではなく天然に近いようなビッグマウスが印象的。やっぱり性格がウンコじゃないと、人を押しのけて会社を大きくしたり、独自の発想を押し通したりは出来んのだな。自分で呼んできたスタッフも、用がなくなればあとは切り捨てるだけだし、凡人から見ると人格破綻者で、「自己主張の国」においても、その押しの強さはやり過ぎのものに映る。


 結果的に成功を収めたわけではあるが、ラスト、「クリエーターを目指す君たちへ。型にはまるな」というメッセージを出す段で、自分が追い出した人らまで回想で美談のように映すのには爆笑したのであった。


 どうしても題材的に『ソーシャル・ネットワーク』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20101030/1288442495)と比べちゃいそうになるが、やっぱりあっちは世に出て間もない生きてる人間をよくああ描くよな、という見方になってしまうな。逆にこちらは評価も定まり行状も人間性も広く知られている人だけに、まあ少々ひどく描いてもOK…….なのか?


 が、が、が、やっぱりAppleユーザーで、五色の頃からimacを愛用してブログを書いたりし、今はiPhoneiPadユーザーでTwitterも使いこなし、奥様の誕生日にもipad miniを贈ったりする僕からしてみたら、嫌な奴ではあるけれど僕の幸せはジョブズさんのおかげです!という面もあるわけですよ。そんな彼の業績を追体験し、コンピュータ史もちょっと振り返れる、という意味ではいい映画である。
 しかし、Appleを首にされてピクサーやってるあたりは端折られるし、頭の方のipodのあたりにつなげず、imacの最初のモデル発売で終わるので、ちょっと物足りなかったな……。

スティーブ・ジョブズ(1) (Kissコミックス)

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