”そのカードを当てよう”『グランド・イリュージョン』


 ジェシー・アイゼンバーグ主演作!


 謎の人物の呼び出しに応じて集まった四人の奇術師たち。一年後、彼らは「フォー・ホースメン」と名乗り、ラスベガスでのショーの最中、パリの銀行から金を盗み出してみせる。大胆不敵にも挑戦してきた彼らに対し、FBI捜査官のディランはインターポールのアルマと共に追跡を開始するのだが……。
 

 ジェシー・アイゼンバーグウディ・ハレルソンの『ゾンビランド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111018/1318932217)コンビ、さらにマーク・ラファロメラニー・ロランがそれを追い、モーガン・フリーマンマイケル・ケインも並ぶ……と、豪華キャスト。さらに最近よく見かける噛ませ犬の弟ことデイヴ・フランコも出ていたね。それが派手なマジックショーを展開しながら、豪快に追跡劇を繰り広げる……ということで、なかなか面白そうとは思ってたんですが、うーん……。


 やっぱり手品って、映画で観ても何一つ面白くないんだよね。基本CGだし。ライトアップのシーンも、カメラが動き過ぎているからか逆に遠目で見ている感覚になりすぎで、臨場感がない。手元で手錠をコチャコチャするあたりの方がむしろ面白いのだが、手品師なのになぜかバルクールやどつき合いのシーンの方が多いあたり、この作り手の限界をひしひしと感じたなあ。カードを手裏剣にするのは、マジックまったく関係ないよね。そしてやっぱりルイ・レテリエは、車を引っくり返さずにはおれないのか。下手な監督ではないと思うのだが……。
 まったく、ヨーロッパ・コープの映画だと知ってたらそのつもりで行ったのになあ、最初に言っといてくれよ! え? 違う?


 マイケル・ケインモーガン・フリーマンを咬ませ犬として起用するあたり、『ダークナイト』シリーズを茶化しているのかな、という気がするね。しかしこの二人、黒幕であってもおかしくない存在感を持つ名優だから起用した……ということだと思うのだが、やっつけ方が鎖につないだり檻に閉じ込めたりだから、単にいたぶっていじめているようにしか見えない。老人虐待映画のようで、どんどん気の毒になってくる。モーガン・フリーマンは相変わらず左手が全然動いてないし……。にっくき悪役を痛快に成敗!という風に見えないのだよな。
 で、黒幕があの人だから、結局今までの仕掛けも、まあそれなりに筋は通ったけど、逆にアイゼンバーグと仲間たちの何がすごかったのか、よくわからなくなってしまった。動いてたのは黒幕の人で、実際は大して何もしていないのでは……。まあウディ・ハレルソンの催眠術は『トランス』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20131111/1384171601)のだいたい二十倍ぐらい万能だし、あれだけで天下とれそうだがな。
 半端にスーパーナチュラルっぽい要素を入れたり、種明かしも入れたり入れなかったりで一貫性もないし、考えるだけ無駄。そして、考えさせないだけの勢いやパワーがあるかというと、それもないし……。


 まあ早いとこ記憶から抹消したい、というより、放っておけば再来月ぐらいには消えてなくなっているであろうから、別にいいとしよう。

ゾンビランド [Blu-ray]

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