"安易な朗読はやめましょう"『死霊のはらわた』


 サム・ライミの同名映画のリメイク。


 山奥の小屋で、薬物依存症のミアのセラピーに取り組んでいた彼女の兄たち。だが、その小屋の地下には、決して開けてはならない「死者の書」が眠っていた……。口に出してはいけない呪文を唱えたことで、ミアに死霊が取り憑いてしまい……。


 今年、『キャビン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130326/1364205440)を観た時にネタバレなしレビューをでっちあげたのだけど、ほとんどそれと同じ筋になっていた。やっぱりオリジナルはほんとに定番となっているんですな。観たのは高校生ぐらいだったか……蔦が絡むとこぐらいしか覚えてなかったが、これを観てると段々思い出してきたような気がする。


 R-18ということで、痛そうなスプラッタシーンの連発される映画に仕上がっており、中盤以降は人体破壊も血の量もすごい。ひさしぶりにここまで景気良くぶった切る映画を観たなあ。取り憑かれている人は身体が欠損しても痛みを感じないので、腕をちぎったり顔を切り刻んだり、あり得ないことを平然とやってのける。
 まあしかし、延々とそれが続くと段々と飽きてきて、「あ〜はいはい、特殊メイクすごいね」という気持ちになってきて、最初は目をそらしたかったはずの切断面も平然と眺めてしまった。途中で登場人物とのチャンネルがプツッと切れてしまい、まるで痛そうに見えなくなってしまったではないか。


 そうなると、笑いに転化するほどの過剰さもないので、どんどん冷めてくる。見せ場も割り振って、手間暇もかけてちゃんと作っているとは思うんだが、その手堅さゆえに逆に真剣味を感じない。いやあ、スプラッタホラーって、もっとはっちゃけてなんぼじゃないの! これ、楽しんで作ってる? 観客を怖がらせよう、痛がらせよう、楽しませようって考えた?


 定型をなぞってそれっぽいオマージュを入れたらそれらしいものが出来上がるか、というとまったくそんなことはないのであるなあ、ということを今更ながら再確認させていただきました。これが若手の映画かあ。今後が心配になってしまう……。まあでも『エルム町のカエル』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20100708/1278595783)なんかよりはずっと良かったですけどね。


 しかしリメイクのいいところは、いくら失敗作を作っても、作り手がヘボ扱いされるだけでオリジナルの評価が下がったりすることはまったくないところだな。『死霊のはらわた』リメイクは、十年ぐらいしてからまたいくらでもやればいいよね! さて、オリジナルの『2』と『キャプテン・スーパーマーケット』でも観るとするか(未見なので)。