"究極のゲスト出演"『HEAT』

ヒート HEAT [DVD]

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 ドニーマラソンもついに佳境。


 香港マフィアのボス・フォンが誘拐しようとする四人の子供たち、彼らは翡翠のペンダントを持ち、その光が合わさる時、財宝の場所が明かされる、という秘密があった。刑事のペンは子供たちを助けようとするのだが、フォンの差し向けた殺し屋に苦戦する。だが、そこにフォンの親友で元刑事のダンが駆けつけ……!


 ここ六本ほど、ドニーさんの下積み時代、脇役、ヒロイン、ゲスト出演と様々な映画を見て参りましたが、ま、結論を先に言ってしまうと、もうすでに主要作品はちゃんと観ていた自分えらい! ファンとして押さえたけど、まあ必見というほどの映画は一切なかった……というところでありました。
 そんなゲスト級作品群の中で、これぞ決定版という映画についに出会った! それがこれだ、『HEAT』!


 スーパーで買い物してるドニーさん、強盗に巻き込まれ、近所でパトロールしてた同僚の刑事と共にこれに圧勝! あちこち壊しまくり、命を粗末にするデンジャラス刑事にぶち当たってしまった強盗たちが不幸でした。しかしこの後、ドニーさんは上司ともめて警察を退職!


 一応、この同僚で親友である刑事と、コリン・チョウ率いる率いる犯罪組織に狙われた四人の子供たち(DVDのジャケでは五人と書いてあったがな……)が主役になってくるんですね。コリン・チョウは子供たちの持つ、財宝の在処を示した翡翠を奪うべく、三人の殺し屋を差し向けます。子供たちの上二人の男子は結構カンフーが出来て、チンピラには勝ってしまうんですが、殺し屋の一番手として現れたビリー・チョウが強い! タフネスとスピードを併せ持つ肉体に、未成年者は歯が立たず。ここで親友刑事が助けに入り立ち向かうのですが……全然敵わない! 逃げるのが精一杯。


 だいたい殺し屋一人に対して、刑事+子供二人の三対一でやっと互角ぐらいになるパワーバランス。殺し屋は三人いて、さらにコリン・チョウまでその背後に控えてるんだから、もう戦力差あり過ぎだろ……と思ってたら……助けに入った瞬間にビリー・チョウを一人で圧倒するドニーさんつえええええええ! 三人がかりでもピンチ!というところに颯爽と現れ、「ここはオレに任せろ」と一人で戦って圧勝してしまう。そして、勝ったら本筋には一切絡まないまま去るという……ここまで露骨にアクションシーンにしか出ない、というのはすごい。


 筋なんて本当にどうでもいい映画なんだが、アクションシーンは総じてハイレベルなのが救い。子供らは『カンフー・キッド』やら『幽玄道士』なんかに出てた子役が成長した姿らしく、結構動けている。妹の子はカンフーしませんがパンチラは見せていて、さらに弟はスタンガンで戦う……って卑怯だろ! 刑事と総掛かりで、そのスタンガンも駆使して辛うじて次の女殺し屋は撃破するのだが、コリン・チョウの側近であるナイフ使いにまたも大苦戦、ついに刑事が重傷を負う。さらに宝も奪われ、もう用無しとばかりにコリン・チョウまでが襲ってきて絶体絶命……。
 ……もうおわかりですね、ここでまたドニーさんがバイクで駆けつけたああああ! 迎え撃って蹴りを飛ばすコリン・チョウ。しかし、ドニーさんはこれをかわしていつものキメキメポーズ! コリン・チョウが「ほう……こいつ、出来るな……!」という感じでニヤッと笑うところが痺れますね。
 先の『幻影拳』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130322/1363862620)と同じくまたスタンダードにトリミングされてて、全てを楽しんだとは言いがたいのかもしれないが、『導火線』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110619/1308391012)から遡る事九年前、ドニーVSコリン・チョウの一度目の対戦が今ここに! これは凄い蹴りの応酬であったよ! 苦戦と見るや、靴の側面に仕込んだ刃物を飛び出させるコリン・チョウ。しかしドニーさんは蹴り合いを避けて、零距離に詰めて手技で猛ラッシュ! つええ! 主役を差し置いてラスボスを圧倒、というのは後の『かちこみ! ドラゴンタイガーゲート』にも通じる定番芸なのでありました。


 そんなわけで、ファイトシーンになったら飛び出てきて、最後の対決までもかっさらって行くという、まさに究極のゲスト出演であったドニーさんでした。いよいよドニーマラソンも後一本を残すのみです!

導火線 FLASH POINT [DVD]

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