"強さに限界はない"『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』


 往年のスターが集結!


 不動産会社で働くチョンは、ある田舎の村に飛ばされ、そこで経営されている喫茶店の立ち退き承諾書を取って来ることに。だが、ひょんなことから喧嘩に巻き込まれ、その喫茶店の経営者である老人に助けられる。老人の武術に感じ入ったチョンは、彼に弟子入りしようとするのだが……。


 『カンフー・ハッスル』の悪役ブルース・リャンと、『かちこみ!』『処刑剣』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110530/1306672092)に出ていたチェン・カンタイ……とまあ最近の文脈で言うとそういうことになるが、それよりもブルース・リーフォロワーとして倉田保昭らと死闘を繰り広げた往年のスターが、懐メロ企画で復活、ということの方が重要。


 しかし舞台は現代。しがない社畜の若者から物語は始まる……。ひ弱な若手を鍛える、というのは定番だが、あくまで主役は年寄りだ! 『ドラゴン・キングダム』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110226/1298650225)ぐらいのバランスかな。ブルース・リャンもチェン・カンタイも、動きもテクニックも切れ切れで、殺陣では仰天したね。そしてじいさんだからスタミナも切れ切れ……(笑)。さらに脚や腕にそれぞれ怪我を抱えている。そこのところを若者と一緒のメニューで特訓して乗り越えて行くアンチ・エイジング。
 若者は結局会社はどうなったんだ、とかそんなことは途中でどうでも良くなって、かつていじめていた相手との確執が主に。いじめられてた方も首に障害を抱えながら、武術で強くなったけれどどこか歪んでしまっているんだね。老人たちの物語の明快さに比べて、このあたりは結構じめじめとしてすっきりしない。ただ、老人二人が本気を出すには、この若者の無謀な挑戦やら失敗やらがないといかん面もあるんだよね。下がいるからこそ、自分が引っ張っていこう、手本になろう、という気概が生まれて来る。


 スケールとしては『アベック・パンチ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110728/1311863590)ぐらいかな。テレビで大々的に宣伝してるのに、その大会はまったく映さないとことか……。ああそう言えば『はるちゃん』でも似たような演出を見た記憶が……。で、結局道場でのファイトに落ちつくんだが、それでもモノホンが出てる分、強度が全然違うわ。
 チャーリー・チャン演ずる敵のボスが、自分では戦わないし金儲けに精を出しているんだけど、いざ勝負となるときちっと敬意を払い、喪章なんかもつけてしまうあたりが良かったですね。ワルになるにしてもこれぐらいの筋は通さないとなあ。
 師匠を昏睡状態に陥らせた敵が出て来るかと思ったけど、登場せず。これは次作に出たりするのかな。その師匠役、テディ・ロビンは一人アクションスターではないのでさすがに様になってなかったが、歌はうまかった。


 主題曲からキャラクターまで、カンフー映画ファンは条件反射的に盛り上がってしまう要素が満載。楽しい映画でござった。

処刑剣 14BLADES ブルーレイ [Blu-ray]

処刑剣 14BLADES ブルーレイ [Blu-ray]

プロジェクトA2/史上最大の標的 [Blu-ray]

プロジェクトA2/史上最大の標的 [Blu-ray]