"よりを戻す大チャンス!"『96時間 リベンジ』


 リーアム・ニーソンのお父さん映画!


 元妻のレノーアと娘のキムを、仕事で来ていたイスタンブールに呼び寄せたブライアン。親子の絆を取り戻すべく楽しくバカンスを過ごすはずだった……が、かつてパリで娘を誘拐した一味が、殺された家族の復讐のために襲撃して来る。娘をホテルに残し捕らえられるブライアンとレノーア。絶体絶命の危機を、果たして乗り越えられるのか……。


 キャスト同じ、脚本同じ、監督交代ということでシリーズ第二弾。冒頭から三十分かけて親子コントを見せ、残りの一時間でノンストップアクションを見せるというところは変わらず。前作で出た新旦那がなんと顔すら見せずに離婚危機を迎え、密かに「チャンス到来!」と思ってそうなリーアムお父さん。自分が仕事で行くトルコ・イスタンブールに元妻と娘を誘う。前作で散々「パリ? 危険!」と吠えてたのに、自分が行くとなったら関係無しで、いい気なものである。ま〜しかし、ますますお父さんキャラにも磨きがかかり(そんな役ばっかりやってるからな……)、娘を見る顔の嬉しそうなところとか、半ば演技を超越しつつあるね。前作冒頭と違ってちゃんとボディガードの仕事をしていて、彼自身も立ち直って、お互いにいい距離感と関係を築きつつあるのだなあ、ということがわかる。娘の彼氏の握手を拒否したりして超大人げないが……。


 アクションパートが始まってからはリーアムが元妻もろとも捕まってしまい、電話の指示に従って娘ちゃんが奮闘する、という展開がしばらく続く。マッチ箱くらいの小型電話を隠し持ってるリーアムだが、捕まっててもこれで電話しまくり! 見張りが一応いるのだが、どこを向いてるのか居眠りしすぎでまったく役に立っていない。いつまでしゃべってるんだYO!
 娘ちゃんも街中で手榴弾を三つも投げて、もうさすがベッソンとしか言いようがないな……フランス人がヨーロッパ資本でハリウッド映画作ってトルコをめちゃめちゃにする、という構図の他人事っぷりが素晴らしい。一応、人がいないか気を使ってたのは一回目だけで、二回目以降はどこに投げてるのかもよくわからん。絶対に弾の切れない銃を差し入れられて、自動車教習をしながら脱出するリーアム父子。大使館に突っ込んでも電話一本で解放されるし、地元の友達も万能過ぎるだろ!
 ここからやっと前作と同じ一人での逆襲が始まる。全体としてアクションのボリュームは変わってないのだけど、間のドタバタがグレーゾーン的に座りの悪い感じを抱かせてくれた。


 総じていつものベッソン節だし、前作を踏まえての部分も機能してるし悪くないんだけど、


前作:親子コント30分→殺戮ショー1時間
今作:親子コント30分→親子アクション30分→殺戮ショー30分


 フォーマットが変わって、これぐらいのバランスになっているあたりが、スケール感もソリッドさも失われているように感じられる原因かな。やはり正しい続編の在り方としては、


理想:親子コント30分→殺戮ショー1時間(ただしボディカウントは2倍に増量)


 であるべき! さらにはクライマックス、いかにも瞬殺されそうだった太めの男が意外に強くて、リーアムと互角に戦ってしまったのも響いたか。ガンカタ使いだったけどな(笑)。
 悪役は、前作で電気椅子処刑された男の父親と親戚で、邦題の「リベンジ」はあっさりと「逆恨みやん!」で片付く程度のことでしかなかったので、まあ大陸棚程度の深みしか出なかったね。だいたいリーアムも工作員時代は普通にひどいことをしまくってそうなので、もっとふくらます余地はあったと思うが、そこらへんは踏み込むとややこしいか。しかし、前作で殺したのはこの人身売買一味以外にも買い手の大金持ちのグループもいたわけで、そのあたりが悪役連合を組んできても良かったかも知らん。


 相変わらず小粒だが、まあまあ面白かった。三作目があるなら超スケールアップを望みたいところだが、作中で「もう疲れた」とか言ってたし、そろそろしんどいかな……。

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