"ラモーナとヒゲもじゃ軍団"『遊星からの物体X ファースト・コンタクト』


 かの名作の前日談!


 1982年、南極。ノルウェー観測基地の近くで発見された、巨大な円盤と謎の生命体を調査すべく、生物学者のケイトはその地に飛ぶ。氷によって封じ込められたその生物は、本当に異星から来たものなのか? だが、基地に運び込み調査の始まったその夜、細胞を採取するわずかな衝撃によって目覚めた「それ」は、その恐るべき能力で、基地の隊員を取り込みその姿に擬態していく……!


 きっちりと前作(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120809/1344529280)を予習して臨みました! ほとんどリメイクじゃねえか、という話も聞いてましたが、いやいや、例の宇宙船にスポットを当ててるオープニングからして、オリジナルとは違う雰囲気があるではないか。ここでメアリー・エリザベス・ウィンステッド登場! ラモーナ!(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110517/1305626160) ヒゲもじゃ男がズラリと並んだ中、女性二人の内の一人。
 さて、舞台となる基地内部が、前作の基地と似たような作りで、これはここからリメイクのようになっていくのかな、と思ったのだが、犬が湿っぽい展開なくあっというまに退場したり、おなじみ血液検査をやるのかと思いきや阻止されて別のチェック方法が発見されたり、意図的に前作の展開をずらしていて度々意表を突かれましたよ。遊戯室のシーンも、前作と似た展開になる一つ前のシークエンスで事が起きる。オリジナルを研究した上での計算ずくの展開ですな。作りとしては、そのままなぞっただけの『トータル・リコール』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120825/1345818870)よりも断然好きだね。


 そして最新技術で描かれた「それ」と宇宙船も良かったね。正体やらなんやらには一切踏み込まず、単にビジュアルだけパワーアップさせたあたりもオリジナル愛だな。前作と似たアップのカットからぐっと引いて全身を見せてくれるところも、最新の映画らしいサービスで堪能。グチャグチャウネウネしたものをたっぷり見られて最高ですね。


 主演のラモーナさんがリーダーシップを取って、「それ」の正体暴きに挑むのだが、ヒゲもじゃの人がぞろぞろ集まってる中、博士、その助手、リーダー格など、辛うじて判別がつく多少頭の良さそうなキャラはみんな「容疑者」になってしまう。「人間」と分かったその他のいっこうに区別がつかないヒゲもじゃの人が、みんなラモーナさんの手下のようになってしまう絵面が面白かった。ラモーナとヒゲもじゃ軍団じゃ!


 オチもきっちり後日談たる前作につなげて大満足。楽しい映画でありました。

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