"その先に悟りはあるのか?"『ハートブルー』

ハート・ブルー アドバンスト・コレクターズ・エディション [DVD]

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 えーっと、観たのは4回目ぐらいか? DVDで鑑賞。


 新米のFBI捜査官ジョニー・ユタは、ベニスビーチで反抗を重ねる四人組の銀行強盗を追うベテランのパパスと組むことに。犯人一味はサーファーだと言うパパスの一見突飛な推理を信じ、ジョニーは自らもサーファーとなるべくビーチに潜入する。溺れそうになったところを女性サーファーのタイラーに助けられたジョニーは、彼女と、彼女の友達であるボーディにサーフィンを教わるように。ビーチで不審な四人組を発見したジョニーは、彼らこそ銀行強盗と確信するのだが……。


 近年『ワイルド・スピード』一作目がほぼ同じ話であったり、『ホット・ファズ』に引用されていたり、『ハートロッカー』で監督がアカデミー賞取ったり、と、バカだバカ映画だと思っていたらなぜかスポットライトを浴びて、昔からのファンにはちょっと戸惑い気味であったりする一本。
 しかしまあ、改めて観たらめちゃめちゃ面白くて卒倒しそうになったよ(最近、このパターン多い)。当時はあまり意識してなかったが、キアヌ・リーブス演ずる主人公の、パトリック・スウェイジ演ずるサーファーへの惹かれっぷりがやばい。もともと新米FBI捜査官であるにも関わらず最初からなじめない感じのキアヌさんなのだが、先輩のゲーリー・ビジー(『ビッグ・ウェンズデー』というサーフィンものにも出ております)も同じく組織内でははみ出し者っぽくて、スキルはともかく性格的には向いてねえよ、という雰囲気がプンプン。そんな中、スリルを求めてサーフィンやスカイダイビングにはまるスウェイジのような生き方にどうしても魅力を感じてしまう。しかし……!


 この頃のキアヌさんって、まだ若者らしい激情や未熟さが見えて、今のなんかロボットみたいな雰囲気が薄い。むしろ、この頃の方が演技してるようにさえ見えて不思議だったりする。
 ピチピチのツヤツヤで、その直情的なところが先輩や彼女から見てもちょっとかわいい……というのが垣間見え、それはおそらく監督の嗜好とも無関係ではないのだろうなあ。ゲーリー・ビジーの海パンを皮切りに無駄に男の裸が多く、ふざけていちいちキャーキャー言ってるうちに、だんだんとその気持ちがわかってきたような気がする。丸腰をアピールするのにキアヌさんがシャツめくって見せるだけのシーンも、何か狙ってるように思えてしまうんだが、きっとその通りなのだろう!?


 愉快犯的、快楽的な犯人像、銀行強盗、ラストシーンなど、『ダーティハリー』もちょっと入ってるよね。快楽主義と求道精神、スポーツ感覚……。サーフィンやスカイダイビングの映像も良い。改めて観たら、スウェイジさんは本当にサーフィンしてるようでちょっとびっくり。部活映画にして男子力映画の傑作であった。

ハート・ロッカー [Blu-ray]

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