"未完の大作、第一章"『ベルセルク 黄金時代篇1覇王の卵』『ベルセルク 黄金時代篇2 ドルドレイ攻略』


 二本まとめて。1はGyaoで鑑賞。


 一匹狼の傭兵だったガッツだが、武名高き傭兵団「鷹の団」の団長グリフィスに敗れたことで、彼の配下として加わることになる。それから三年、切り込み隊長として名を馳せることになったガッツは、キャスカや他の幹部と反目しつつも団内で、グリフィスの中で確かな存在となりつつあった。隣国チューダーと永きに渡る戦乱を繰り広げるミッドランドに雇われた「鷹の団」は、要害を次々に落とし、国内での地位を高めていく……。


 一応、次で鷹の団篇は終わりということだが、80分程度で三つに割っているため、どうも切るタイミングが良くない。尺短い上にクライマックスがないように、どうしてもなってしまう。1は特にそれが顕著で、終わった瞬間「えっ!?」と声が出てしまうレベル。序盤から戦闘シーンの釣瓶撃ちで構成していることも災いし、いかにも後半失速しているように感じられる。120分、120分の前後編で、1でドルドレイ陥落までやっておけばまた違ったと思うが……。2の引きはそれほど悪くはないと思うが、それもこの後、大変なことが起きるのを知ってるからでもあるなあ。どうだろう、全然知らない人が観れば、3では「ガッツがグリフィスを助け出して、友情復活! で、王様をやっつける!」みたいな展開になると予想したりするのだろうか?


 作画はかなりヌラヌラと動いていて、背景の書き込みや、建造物の巨大感も悪くない。CGとのマッチングも2は良くなってきたかな。ただ、演出としては、剣戟シーンの動の部分はともかく静の部分のスタイルはいまいち決まっていないようにも感じたところ。
 残酷描写も生首転がるカットが少々ワンパターンに感じたり、ベッドシーンも生々しいリアルさの表現としては少々中途半端。チンコが映るのはその後の拷問シーンだし……。このベッドシーンが事実上のクライマックスであったりするわけだが、グリフィスの喪失感や王の異様な執着など、美味しい要素がうまく絡めてない。


 総じて1よりも2の方がこなれていて、説明的な台詞回しも減ってきたし、アクションシーンのボリュームも増している。ただまあ、漫画読んでない人が観ても、何が面白いところなのかさっぱりわからんよね。まあそういう人はもともと対象にしてないのだろうが……。
 怪物が登場し、その過去がキラキラのカリスマ美青年で、いったい何があってああいうことになってしまったのか?ということが気になるから、原作でもページをめくる手が止まらなかったのだが、そこを単に時系列で並べちゃっては、初見の観客を惹きつけることはできないのではなかろうか。一度読んだきりなのでうろ覚えだが、細かい展開もかなりカットされてるようで、グリフィス、ガッツ、キャスカの三角関係を中心にしたのはいいが、そちらも掘り下げられているとは言い難い。
 シーンごとのぶつ切り感も強く、何となくだが原作をイメージして「理想のコンテ」を切った後で、尺が足りねえ予算が足りねえ時間が足りねえ、とあちこちカットしながら作って行く過程で、全体のデザインを見誤ったようにも思える。こちらの指摘に象徴されるシーンは、悪い意味で印象深かった。


https://twitter.com/cyborg0721/status/216848856627941376


 ここまで観たんだから、たぶん3も観るんだろうけれど、さて、そこで全体の印象が変わるかどうか……。

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