"燃えよ闘志、撃ち抜けガン=カタ"『リベリオン』

 ひさびさにDVDで観ました。通しで観るのも、たぶん五回目ぐらい。


 第三次世界大戦後、新たに「ファーザー」によって建立された独裁国家リベリア」では、全ての国民は薬品によって争いを喚起する全ての感情を抑制することが義務づけられていた。さらに、歓びや感動をもたらす芸術の数々も全て規制され、破壊の対象となっていた。「ファーザー」の手足となり、国民を監視し統治する者、それが「クラリック」。彼らは地上最強の武術「ガン=カタ」を操り、感情の抑制に違反した者や芸術品をことごとく抹消してきた。その中でも最強と呼ばれる男ジョン・プレストンは、ある日、仲間のクラリックに不審を抱く……。


 まあ今さら多くを語る必要もないと思う。『マトリックス』フォロワーでありながら、多くの「ガン=カタ」フォロワーを生み出した作品。その「ガン=カタ」によってカルト作品の文脈で語られながらもエポック。誰もが目を惹かれる趣味的な設定を抱えた作品でありながら、シンプルで誰でも楽しめる娯楽作。主演のクリスチャン・ベールのフィルモグラフィを振り返っても、今作抜きで『ダークナイト』を語れはしないであろう。多くの意味で歴史的転換点となった映画。笑って泣いて、萌えて燃えて、痺れながらも突っ込んで……記録にも記憶にも残る映画。今年は公開十周年でもあるので、ぜひとも再販してほしい! BDも出てますが、DVDもかなり画質いいですよ!


 リボンをフンフン嗅ぐチャンベール、へどもどと苦しい言い訳を連発するチャンベール、犬が手放せないチャンベール、路上に突っ伏して号泣するチャンベールなど、爆笑ものの萌えポイントも満載。最近ファンになった人も座して『ダークナイト・ライジング』を待ってないで、今作だけは押さえておいてほしい。
 4度に渡るガン=カタシーンも全て最高! youtubeでもそこだけ何回でも観れるが、ドラマあってこそのガン=カタでもありますよ。見た目も言ってることも無茶苦茶なのだが、とにかく凄い自信と説得力! これを真似するために、エアガンも二丁ほど買いました。監督のカート・ウィマーはこれ以後、脚本中心に活動して鳴かず飛ばずだが、もうこれ一本あればそれでいいんだよ!


 100点満点ならば99点はつけたい映画。唯一のマイナスポイントは、ショーン・ビーンガン=カタが見られなかったことだな〜。