"「いきんで!」「いやあ〜!」「もっといきんで!」"『THE EYE 2』
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恋人に捨てられたことで、旅行先のタイで自殺未遂を計ったジョーイ。一命を取り留めた彼女だが、その日を境に、身近で不思議な現象が起きるようになる。周囲に出没する黒い人影は、他人には見えないのだろうか? 一月後、医者に妊娠を告げられたジョーイは、出産を決意する。だが、臨月が近づくにつれて、怪現象は勢いを増していき……。
一作目はパン兄弟の最高傑作と評価している。劇場で観て怖くて「もう帰ろうかな……」と思った映画はこれぐらいだし、ミステリ的な大ネタの仕込み方の巧みさ、ラストの大カタストロフに至るまで、サービス精神満点の作品であった。果たして二作目の出来やいかに?
今回は角膜関係なくて、臨死&妊娠を同時に経験したことで霊が見えるようになってしまう、という設定。主人公は男に捨てられた上に妊娠というただでさえ不安な事態に加え、何やら見えるはずのないものまで見えてしまうのでパニック状態。いつまでも年齢不詳なスー・チーは今回かなりの熱演で、ただ叫ぶ演技でも『スティル・ブラック』のうるさかっただけの頃に比べてずっとうまくなっている。
主人公は情緒不安定になり、シングルマザーで先行きも不安。そこにさらに霊。主人公の置かれている状況設定をまず丁寧にやり、それから恐怖描写をやることで、効果が何倍にもなる。まあ観てればわかることなんだが、実は霊は大袈裟なことは何一つやってないんだよね。生前にあったようなアクションを繰り返しているだけで、作中の解説においても「ただそこにいる存在。善でも悪でもない」と説かれる。外部からの攻撃の形式を取った「スプラッタ」ジャンル的な見せ場を用意せず、あくまでゴーストストーリーとして見せる。
ハリウッド進出作『ゴースト・ハウス』でも、パン兄弟はこの制約をきっちり守っていたが、作家としてのこだわりかな。
しかしまあ見せ方はうまいんだが、映像的な仕掛けがない分、一作目に比べると落ちるかな。前作は「盲目から見えるようになったことによる不安感」「霊が見えることの恐怖」に加え、「側に霊がいた人間は近いうちに死ぬ」という設定があったため、恐怖が何重にも張り巡らされた感があったが、今作では「妊娠・出産による不安」「霊が見えることの恐怖」の二重構造に留まっていて、かなりシンプルになった印象。それでもまずまず怖いんだけど、やはりちょっと物足りない。
ただ、出産という行為自体のある種のグロテスクさと流血描写で補われてるという見方もできる。しかし、産婦人科病棟において、スー・チーが霊に怯えてるのに全然動じずに「いきんで!」とか言ってるナースの皆さんのプロフェッショナルぶりは、ちょっとカッコ良かったなあ(いや、彼女らには霊は見えてないんですけど)。
前作ラストの大カタストロフを観たものとすると、結末もパンチ不足だな。このネタなら、最後はあのクソ野郎をぶち殺さないともやもやしたものが残るだろ! ラストカットも見た目こそ怖いけど実は……という内容なんだから、すべっている。
さて、パート3もあるんだが、一応観るかな……。
ところで、公開当時に読んだ映画秘宝のインタビューでスー・チーが言っていたのだが、「監督は双子だから、片方ずつ一日交代でしか現場に来ない」という話が衝撃的だったな〜。今でもそうなんだろうか?
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