『吸血鬼ジュヌヴィエーヴ』ジャック・ヨーヴィル

ウォーハンマーノベル 吸血鬼ジュヌヴィエーヴ (HJ文庫G)

ウォーハンマーノベル 吸血鬼ジュヌヴィエーヴ (HJ文庫G)

 『ドラッケンフェルズ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20100814/1281758595)の続編。


 ドラッケンフェルズ城の惨劇を生き延びたジュヌヴィエーヴは、デトレフの元に身を寄せ、彼と幸せな生活を送っていた。デトレフは帝国からの圧力を受けながらも、刺激的な内容の講演を連発し、時代の寵児となっていた。だが、好評を集める新作劇の内幕に、ジュヌヴィエーヴはデトレフの闇に惹かれる危険な面を感じ取る。果たして、劇場に密かに迫る闇の使者の存在があった……。 


 長編かと思ったら、三本の中編からなる連作だった。おなじみ役者のデトレフさんが出てくる一編目が、前作ファンから見たらやはり秀逸。ああ役者魂。ラストシーンが素晴らしいよ。
 二編目、三篇目はほぼ独立した話になっているのだが、こちらも面白い。どちらもミステリの要素を孕んだややトリッキーな構成になっていて、読み始めにとまどうぐらいだ。しかし主人公であるジュネの名が冠された作品集だけあって、吸血鬼であり女性である彼女のマイノリティとしての視点から見た、時の権力者たちの暗闘と彼らの精神構造を、趣向を変えつつ描く。


 作者のジュヌヴィエーヴ愛が一編ごとにひしひしと伝わる出来で、ジュネたん萌えがぎっしり詰まっている。これは続編も『ドラキュラ紀元』も早いとこ読みたいな、と思ったのであった。

ウォーハンマーノベル ベルベットビースト (HJ文庫G)

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ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)

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