”裸祭り不発! ストイック演出の今後は?”『機動戦士ガンダムUC 3 ラプラスの亡霊』

 原作の4巻後半から5巻にあたる部分。


 袖付きの拠点パラオに、ユニコーン奪還とバナージ救出のために単艦での攻撃をかけるネェル・アーガマ。脱出したバナージに、クシャトリヤを駆るマリーダが襲いかかる。激突の最中、三度発動するNT-Dシステム。だが、それすらもフル・フロンタルの仕掛けた罠に過ぎなかったのだった……。


 原作でも、ここらへんから大盛り上がりに感じたんだよね。なので超期待! が、なにかどうも淡々としてますなあ。まあ原作の流れを全部知っているからでもあるんだが、監督は抑えた演出を好む人なのかな、という印象。


 そしてまたフロンタルさんの説明台詞がうぜえええ〜。長いよ! 「プルトゥウェルブは……」って、映像見せる前に全部しゃべっちゃったよ。説明しないわけにもいかんけど、順番が逆だろう。で、このシーン、なんとほぼ止め絵。
 そして戦闘中、撃ち合ってる最中にどこへともなく止まって、なんかしゃべってるのも不自然。オードリーとリディと、敵が飛び交ってるところでいったい何十秒会話していたのか。ダグザさんが下りる下りない言ってる時、いったい何回、外れのビームがモニターに映ったか。ここらへん、せめてカットの切り返しでごまかすぐらいはしても良かったのでは……。
 この説明シーンの処理の下手さ加減は後々どんどん響いてきそうな気がする。

 
 デルタプラスがあまり活躍しなかったのは残念だが(次回に期待!)、モビルスーツ戦は熱い。ドラッツェ! ガザD! そして新カラーのドライセンがトライブレードまで繰り出す大活躍。一瞬、「え、ドライセンってサイコミュついてたっけ?」と錯覚したが、これがトライブレードの発射プロセスだったのだな。昔はなんとなくどこからともなく飛び出してきてたものだが……この丁寧極まる描写、まさに選ばれし機体だな……。そしてジェガンVSドライセン、ガザDという、良く考えたらゲームでしか実現してなかった対決が実現! 『ZZ』と『逆襲のシャア』で登場MSがジム3以外全部入れ替わったのは、考えてみたらおかしいよね。使い回せる機体は使い回して当然である。
 ほとんど人間のように動くシナンジュもいいなあ。ギラ・ズールといっしょにロトいじめするとこも素晴らしいね。そのロトの動きもかっこいい。


 キャラクターの方はまずまずかな……完全に端折られてるのはガエルさんの存在ぐらいで、重要な描写はみんな入れてある……んだが、なにかダイジェスト的なのだよね。正直、キャラ絡みの話では、いいところや燃えるところはまだまだ先なんだよな。この段階では見せようもないことも多い。
 そんな中でマリーダさんは相変わらず最高すぎます。萌え! が、予告では裸祭りのさわりしか見せなかったが、そのさわりで全てとは思わなかった。例の過去のシーンも、手の動きだけで孤独感と生々しいエロスを表現するのは悪くないアイディア……なんだが、「見せない」ことを前提にしてるようにもとれる。
 しかし「どうしてなんですか!」「それでも!」と言い続けるバナージには、この今の我々が生きる時代の閉塞感がよく出てるなあ。自然と今の不景気に重ね合わせてしまう。
 さて、淡々とした中で、その淡々ぶりが怖いフル・フロンタル。小説では薄いキャラにしか感じなかったのだが、こうして仮面かぶった人が何考えてるかわからないまま、行動だけは酷薄なところを絵で見せられると、背筋にじわっとくるものがある。シャアとかゼクスとかクルーゼとか、かぶってるにも関わらずそれぞれ生々しさとか熱さとか諧謔とか感じさせて、そういう「仮面の効果」はついぞ感じた事がなかったのだが、顔が見えないことの恐ろしさをガンダムの仮面キャラから初めて感じたね。


 最後の大気圏突入しながらの激突は、絵的に素晴らしかったね〜。これぞクライマックス、なんだが、決着がつかないのをわかってる中でいかに見せるのか。怒りに燃えてシナンジュを追い込んで行くユニコーン、初めてぎりぎりの状況に詰められたシナンジュ……!
 尺もぎりぎりだったのか、エンドロールでもまだ映像あり。


 さあ、次はいよいよ地上ですよ。怪獣大戦争! 樋口撃ち! 我らがシャンブロ、そしてバンシィ! 秋か〜。まだまだ先だね……。

ROBOT魂 [SIDE MS] ギラ・ズール (アンジェロ・サウパー機)

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