”憎しみが勝利しそうになった時、この映画を思い出そう”『(500)日のサマー』

 BDで鑑賞。


 グリーティングカードの会社で働くトムは、新たに入社してきたサマーという女の子と意気投合。しかし、真剣に付き合う気はない、というサマーに対し、トムは運命の恋があると信じる男。片思い? 両思い? 友達? 恋人? 関係が深まるほどにトムの思いは募るのだが、サマーの心の内がどうしてもつかめない。そして二百数十日が経過したその日、サマーは突然、別れを切り出す……。


 大阪の映画ファンなら、おそらく9割が「行くの面倒くさい場所だけど、ここでしかやんねえからなあ……」と思う劇場、梅田”ファッキン”シネリーブル。いや、シネコンに車で通うような田舎の人がこれを聞けば、たかが駅から20分ほど歩くぐらいでファッキンとはなんと贅沢な! と怒るところだろう。が、普段は我慢して行くんだけど、時々面倒くさくなる。
 ここで公開したんだがやっぱり面倒になって見逃して、春になったらシネマート心斎橋で遅れて上映することになった。わあい、行きやすいよ。これは観なきゃなあ。


 ……でも、観に行かなかった。怖くて。つらくなるのが嫌で。
 今年ももうすぐ終わりだけど、やっと観る気になれた。やっぱり想像していたとおりの話だったけれど、受け入れることができた。
 とてもありふれた話だと、今なら思える。サマーは眺めているだけで幸福になれるようで、すごく魅力的だった。そして、とても誠実だった。トムに対しても、自分に対しても。
 トムとて、何かを間違えたわけでもなし、何かが足りなかったわけでもなかった。
 そう、これでいい。これでいいんだ。
 もしまた迷ったら、憎しみが湧いてきたら、その時はこの映画を思い出そう。


 さて、大概の人にはどうでもいい話であろうそんな事は置いといて、これが今度の『スパイダーマン』を撮ると言う監督の作品だそうである。んんんんん〜、同じ童貞ネタにしても、ちょっとオサレすぎませんかこれは……。ライミ&マグワイアの痛々しさが欠けたものになりませんか、こりゃあ。IKEAとか出てきたぜ!? せっかく大阪にも出来たけど、オレ行ったことないよ!?


 しかし『スパイダーマン』には激しく不安だが、今作の心理描写と状況の見せ方はうまく、こういうシャレオツな恋愛映画に、甘っちょろいだけでないリアルさを加えている。前にウケてたギャグで笑ってくれなくなるとことか、やめろ!やめろ!と悶えたね。手書きアートを使った演出や、部屋のインテリアなどのオサレ感覚はファンタジックに過ぎて、これで話まで甘ければうんざりするところだが、ちゃんとバランスは取れている。
 500日間の時間軸が幾度も入れ替わる演出も、時と場合によってコロコロと表情を変え、一見同じに見えてもその時の心理によって意味合いのまるで違ってくる、恋愛そのものの表現に成功している。


 『インセプション』でスマートながら堅物だったジョセフ・ゴードン・レヴィットだが、今作でもある意味堅いところをうまく個性として出してるし、ズーイー・デシャネルもマイペースで周囲に流されない性格付けを、わがままではないポリシーにまで昇華したキャラクターとして演じている。いざ気持ちが離れるともう絶対に戻って来ない、女ってみんなそうだよね、という事はもちろんなのだが、それ以外に何か確固たる芯がないと、男選びだけはがっちりしてる、という風にキャラづけが曲解される。その辺りも、きっちり考えられて作られた人物像だ。
 結婚式のシーン、一番楽しかった頃を思い出している二人が、一番好きだな。


 出会いと別れ、再会を経て、(500)日は終わる。それでも人生は続く。新たな希望を感じさせるエンディングは……ふっ、甘っちょろいんじゃないか? そんなうまい話がそうそうあるものか……。まあでも、もしかするとこういうこともあるんじゃないか、と思わないとやってられないけどな……。


 ところで最近、筋トレに行ってるジムの、フロントにいてるメガネっ娘が超かわいくてですね〜! 僕は見る度にキュンキュンしちゃうんですけどね! これは新しい(500)日の始まりになる……といいな(笑)。
 そして、オレがこの映画を公開時でも春でもなく、結局、今になって観た事にも、きっと何か意味があると思うよ。

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