『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』


 ファン待望? ここには手をつけて欲しくなかった? まあとりあえず続編がやってきました!


 政治犯の解放を迫る武装戦線によって、大統領の子供二人が誘拐され、チェルノブイリが占拠された。武装戦線の兵士の中には、かつてアメリカの「ホワイトタワー計画」によって生み出された、新型ユニバーサル・ソルジャー「NGU」の一体が加わっていた。計画の中止と共に破棄されたはずの実験体を、科学者が盗み出していたのだ。ロシア政府に協力した米軍は、保管されていた旧型ユニソル四体を投入するが、NGUによってなすすべなく撃破される。
 残るユニソルは一体のみ。戦闘行為から離れ、リハビリプログラムを受けていたリュック・デブロー……。再びリュックを戦場に投入しようとするロシア軍。その頃、武装戦線の指導者と対立した科学者は、保険として一体の旧型ユニソルを覚醒させようとしていた。クローン技術によって再生された、アンドリュー・スコット元軍曹である。


 とうとう50歳を迎えようとしているヴァン・ダムが、『リターン』に続いて『リジェネレーション』! まさかのドルフ・ラングレン再登場というアクロバティック、監督にピーター・ハイアムズの息子ジョン・ハイアムズを起用、新たな敵役には元UFC王者、アンドレイ・アルロフスキー
 ん〜、なんだこの微妙に豪華なラインナップは?


 かつて、ムキムキの男二人が出てるなんて素晴らしい、と、おすぎに絶賛された『ユニバーサル・ソルジャー』だが、今回はヴァン・ダムもドルフもほぼ裸はなし。渋い色調、暗めの画面、逆光になるライトアップの中、淡々とした音楽に乗って、ユニソル同士の死闘が繰り広げられる。
 銃撃、爆発、カーチェイス、肉弾戦と色々あるのだが、かなりリアリズムに則った形でまとめられている。格闘シーンも総合格闘技の要素が取り入れられ、関節技とパウンドが駆使され、生身の人間がぶつかり合う感覚に満ちている。地味と言えば地味なんだが、映像同様、渋めで良い。
 裏には、もうヴァン・ダムさんにそんな派手派手なアクションをやらせられない、という事情があるのだろうが、それが返って、非情の改造人間が効率的に敵を倒して行くという設定にマッチし、リアリティにつながった。


 シナリオやキャラに生きていないところがちょこちょこあるのだが、その元凶になった終盤の展開がそれゆえに思わぬサプライズになっていて、この規模の作品としては味が出たのではないだろうか。
 まずまず成功作と言っていいと思うが、その最大の勝因は、ヴァン・ダムさんにヴァンダボーさせなかったことだろう。
 中盤を過ぎるまでヴァン・ダムの見せ場はなく、起の部分をアルロフスキー、承の部分を名もなき量産型ユニソル、転の部分をドルフさん、結でようやくヴァン・ダムという構造は、ユニソルのタイプやキャラクターをじっくりと見せられた要因となった。
 ヴァン・ダムは人間性を取り戻し切れていないユニソルという設定通り台詞も少なく、悪目立ちしない。普通にやってれば、女にもてるヴァン・ダム、クローンになって何人にも増えるヴァン・ダム、ヴァン・ダムの息子登場、そして意味もなく脱ぐ……という『レプリカント』『ディレイルド』など、後期の凡作にありがちだったシーンがたくさんたくさんあったと思うが、一切なし! 前作との整合性とか破綻してはいるけど、作品内の一キャラクターとして、ラストシーンまでその存在を全うしている。
 これがヴァン・ダムさんが「枯れて」自己主張を引っ込めたせいか、監督やプロデューサーが嫌がるヴァン・ダムを押さえつけたせいかは不明だが……。


 「出番は10分ぐらい」という噂でファンをやきもきさせたドルフさんも、スコット軍曹というキャラクターならではのサプライズを中盤で起こし、結構おいしい役だった。ゲスト出演らしく花を持たせてもらったか? ここらへんもヴァン・ダムらしくない(笑)。


 まあしかし、ヴァンダミング回し蹴りもあるし、『その男、ヴァン・ダム』の冒頭みたいなヴァンダミング長回しもあるし、そこらへんで我慢しよう。


 低予算だけど、きっちり作り込んだB級アクションの見本のような作品。劇場公開に足るクオリティだ。ひさびさにこういう作品が見られて、ちょっと安心したね。ヴァン・ダムもドルフさんも、まだまだやれるよ!

人気ブログランキングへご協力お願いします。